学童保育事業の経営を安定させるポイントとは?

学童保育事業の経営を安定させるポイント

目次

1.はじめに

2.小学生が過ごす放課後の居場所の種類

3.ネオ学童(民間学童)との違い

4.放課後児童クラブへの参入メリット

5.経営を安定させるためのポイント

6.成功事例

7.結びに

1.はじめに

2019年時点で学童(放課後児童クラブ)の待機児童数が、18,261人と過去最高を更新しました。放課後児童クラブ数も25,881 か所(前年比553 か所増)で、同じく過去最高を更新しております。

553か所も増えているにもかかわらず、待機児童が増え続けていることからも、潜在的な待機児童の多さを実感しています。

そして平成27年度より学童の対象が高学年にまで引き上げられてから、小学生達の放課後の在り方はこの5年で多様化してきました。また近年では「ネオ学童」と呼ばれるような、いわば自治体から認可されていない民間のサービスも増えてきており、一言に“学童保育”といっても、その運営形態は様々です。

そのような中で、学童保育事業への参入についてご検討されている方は多いのではないでしょうか?本日は学童保育事業の中でも「放課後児童クラブ」についてご紹介するとともに参入のメリットとデメリットについてお伝えしていきます。

2.小学生が過ごす放課後の居場所の種類

学童保育事業への参入を検討する前に、まずは小学生が過ごす放課後の居場所の種類について正しく理解する必要があります。下記表のとおり、小学生が放課後過ごす場所として大きく4つに分けることができます。


この中で、学童の待機児童数としてカウントされる対象は、②「放課後児童クラブ」に入ることができなかった児童となります。待機児童が多い都心部では、③「放課後子ども教室」が実質的に待機児童の受け皿としての機能を果たしており、「放課後児童クラブ」と一体的に運営する④「放課後子ども総合プラン事業」が増えています。これらの施設は、自治体によってその実施方法や対象学年が異なるため、施設規模も運営の仕方も様々です。

そして2019年度より「新・放課後子ども総合プラン」において、2023年度末までに放課後児童クラブの受け皿が30万人に整備されることが決まっています。今後一層放課後児童クラブの量的な拡大が期待されます。

3.ネオ学童(民間学童)との違い

学童保育事業の運営を検討されている皆様の中には、補助金を活用して参入する放課後児童クラブか、ネオ学童と呼ばれる民間サービスか迷っている方もいらっしゃると思いますので、その違いを説明いたします。

経営面における大きな違いは下記のとおりです。

「ネオ学童」と呼ばれている民間学童が着目されてはいますが、一方で、児童が集まらず民間学童の経営がかなり厳しいというご相談をいただくことも少なくありません。

その理由は利用者から徴収する保育料の価格設定にあります。一見サービス、オプションが充実している民間学童は需要があるように見えるのですが、他の習い事や塾などと異なり回転率が悪い学童の運営においては、保護者より放課後児童クラブの5倍から10倍の利用料金を徴収する必要があります。放課後児童クラブが整備されていく中で、果たしてそれだけの価値を提供できるのかということが重要になります。

全国的に校数を伸ばしている英語学童もそのほとんどがFC展開で、各事業所の事業性は不透明です。また、ネオ学童を運営してきた企業が補助金を活用した放課後児童クラブにも参入しはじめていることからも、コンテンツの明確な差別化ができない限りは安易な民間学童の参入は避けたいところです。

4.放課後児童クラブへの参入メリット

①補助金を活用することで設備投資がほとんどかからず、ローリスクで参入することができる。

放課後児童クラブは公設民営(業務委託・指定管理)、もしくは民設民営での参入の仕方があります。公設民営の場合は、設備投資はかからず始めることができ、民設民営の場合であっても、整備費等を活用し設備投資を最小限に抑えることができます。

②保育士以外の人財活用ができる。

人規模の放課後児童クラブでは2名の有資格者の配置が必要となります。放課後児童クラブの有資格者とは、「放課後児童支援員認定資格研修」を受講して取得する「放課後児童支援員」のことを指します。保育士以外にもこの研修の受講資格があり、ますまず激化する保育士の採用難の中で、保育士以外の人材を活用することができます。

③特別なサービスやコンテンツの構築ができていなくても保育のノウハウを生かすことができる。

放課後児童クラブは「第二の家庭」と呼ばれることが良くあります。運営の中で求められることは、児童に基本的な生活習慣を身につけさせたり、地域と連携した事業を行ったりと、これまで運営されてきた保育園でのノウハウを生かすことができます。近年ではプログラム内容やサービスの充実についても求められることはありますが、民間学童とは異なり収益を確保するために習い事や過度なサービスを提供する必要はありません。

5.経営を安定させるためのポイント

先述でメリットをお伝えしましたが、放課後児童クラブについても課題はあります。そこで、参入を検討するうえでのポイントをお伝えいたします。

①自治体の情報収集

放課後児童クラブへの参入を検討している方は、まず、参入したいエリアでの可能性を積極的に探っていきましょう。公募が出ることや自治体から声をかけてもらうことを待っていては完全に出遅れます。公募だけではなく随時希望する事業者を受け付けている自治体もありますので、まずは積極的に情報を集めましょう。
また、「放課後児童クラブは、どこも同じじゃないの?」と思っていらっしゃる方も多いと思いますが、その運営形態、参入方法は下記のとおり様々です。
参入を検討しているエリアではどの様な運営が可能なのか事前に調査する必要があります。


※各分類については船井独自の調査の上実施。

②適正な可否判断

放課後児童クラブは、自治体の裁量が大きく、保育事業に比べて行政の整備が遅れています。そのため同じ規模、同じ運営形態であったとしても自治体によって補助金の金額が大きく異なります。たとえ保育園の経営に比べて薄利であったとしても、最低限の営業利益が見込まれなければ参入するべきではありません。そこでポイントとなるのは、適正な可否判断です。
自治体が適応する補助金に加え、保育料、そして運営の自由度(保育料以外の徴収が可能かどうか)等下記4点を総合的に判断し参入するかどうか判断する必要があります。

I運営費補助の詳細
II保育料金の設定の自由度
IIIオプション(習い事)実施の自由度
IV処遇改善加算・キャリアアップ加算
V整備費の詳細

③プロポーザル対策

放課後児童クラブへ参入するためには、公募の場合プロポーザルにおいて選定される必要があります。そのため、提案書やプレゼンテーションにおける対策が参入するための重要なポイントになります。
しかし、公募が出ると約一か月後には提案書を提出、翌年4月には開設をしなければなりません。新規参入でノウハウを構築していくには、公募が出てからでは時間がありません。
公募が実施される前の事前準備として、法人内で事業計画を策定しておきましょう。

6.成功事例

〇放課後児童クラブの民営化受託成功事例社会福祉法人立正たちばな会

2019年度山口県岩国市内にて、初めて放課後児童クラブの民営化が実施され、新規での放課後児童クラブへの参入に成功されました。

プロポーザルの準備を通じて放課後児童クラブのノウハウを構築され、現在岩国市より委託を受け運営されています。くわしくは下記をご参照ください。
https://hoiku-kodomoen.funaisoken.co.jp/success/success-4643/

7.結びに

本日は「補助金を活用した放課後児童クラブへの参入」ということで参入のメリット、ポイントについて説明させていただきました。放課後児童クラブの参入を契機に、事業の幅を広げていただき、皆様には包括的に子育て支援事業を担うことができる法人を目指していただきたいと思います。こちらさらに詳しくお知りになりたい方は、無料のDL冊子もご用意しておりますので、こちらをぜひダウンロードしていただければと思います。
また、豊富な経験を持つコンサルタントの講話や、他の経営者様の事例をお聞きしたり、意見交換のできる研究会も実施しております。こちらもぜひご参加いただいて、皆様の経営に役立てていただければと思います。

執筆者情報

近藤めぐみ

株式会社船井総合研究所保育・教育支援部
近藤めぐみ
前職では大手保育事業会社にて、主に学童・児童館の開設、運営管理、プロポーザル業務に従事。
2019年4月に船井総合研究所に入社後、現在は幼稚園・保育園の組織力強化支援、放課後児童クラブ参入へのサポートを中心に従事している。


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