「幼児教育無償化による5つの業界変化」

2021年9月27日配信

テーマ:
時流・業界動向

変化を見据えた経営を!

いつもご愛読いただきありがとうございます。

船井総研の大嶽と申します。

さて、4月3日、衆院内閣委員会で幼児教育・保育の無償化を
実施するための子ども・子育て支援法改正案が可決され、
今国会で可決する見通しとなりました。

リーマンショックのような、経済を大きく揺るがすような
事態にならない限りは、ほぼ確実に実施されます。
では、この無償化を迎えるにあたり、私たち保育園、幼稚園、
こども園として、どんな経営をしていくべきなのでしょうか?

まず無償化によって、起こる変化を挙げます。

1.保育料が一律となり、業態がシームレス化(切れ目がない状態)する
2.保護者は価格よりも価値(教育と利便性)で園を選ぶ
3.保育ニーズが高まり、希望者が増える(地域によっては待機も増える)
4.習い事や教育サービスへの投資が増える
5.幼稚園、認定こども園の満3歳児(1号認定)が増える

細かく言えば、まだ変化はありますが、まずこの5つを押さえてください。
1と2により、保育園から幼稚園へ、幼稚園から保育園へという動きも
少なからず出てくるでしょう。

当然保育料が一律になれば、実費部分だけになり、これまでの負担と
比べると格段に下がるため、多少の違いはあれど、価格が選択基準の最優先
にならないという保護者が増えます。

よって、その選択基準は「価値」と変化し、具体的には教育内容もしくは
長期休暇時や預かり時間などの利便性で選ぶようになります。

つまり、幼稚園なのか保育園なのかという業態選択から、徐々にその垣根が
なくなりシームレス化していきます。
また、3については、メディアや国会でも取り上げられているように、
無償化が保育ニーズを引き上げるのは避けられません。

例えば、2歳で保育園に預けてパートで働こうと考えている保護者の場合、
保育料で給与の大半を支払うことにより、働く意味を失うという方は
決して少なくありません。

しかし、3歳から確実に無償化されるのであれば、早期に働きはじめても
支障はないと判断し、入所申込をするという方が増えるということです。

3歳以降は95%以上の方が通園しているため、この方々も一部増えますが、
それよりも、0~2歳で保育園、こども園を利用していない方々が、早期に
通うというマーケットの拡大が確実に起こります。
4については、家計における教育費の割合が下がるため、すべてを教育に
回すということはなくても、心理的には少なからず、習い事や課外教室
にお金を回せる余裕が出てきます。

これにより、習い事のマーケットが増えるでしょう。

それを睨んだ教育サービス企業が既に幼保マーケットに参入しようと動いています。
最後に5については、現状の方針では、3号認定の2歳児クラスは無償化対象
にならないため、例えば保育園の2歳児クラスに預けている満3歳児の場合、
別のこども園や幼稚園の1号認定に転園すれば無償化されるという現象が
起こることになります。
※この部分は自治体の補填や国の方針転換もあり得ます。

それによって、満3歳児は確実に増えることが予想され、特にこども園
の1号認定での入園は人気が増えるでしょう。

以上のように、幼児教育の無償化により、業界の変化が起こる可能性が
ありますので、これらの変化を見据えた経営が求められます。

その経営の最大のコンセプトは、「保護者から選ばれる園」です。

また別の機会にこれについても触れたいと思います。
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