処遇改善加算を運用する4つの段階
皆様
いつも弊社の保育園・こども園経営.comのコラムをお読みいただきありがとうございます。
船井総合研究所の吉田健人(よしだけんと)です。
皆様の園では、処遇改善加算を計画的に運用されてますでしょうか?
内閣府の資料によると、処遇改善加算は
保育園・認定こども園については8割以上が適用しており、
企業主導型保育事業でも利用が可能になるなど、運用していて当たり前の状態になりつつあり、
運用していなければ人財の流出につながりかねません。
一方、運用していても、対象者の選定基準が明確でないために
職員の不信感やモチベーションの低下が起き、離職につながるなどの危険性があり、
計画的な運用が必要です。
今回は、処遇改善加算を利用して保育士の定着率を高める
計画的な運用についてお話しさせていただきます。
女性の社会進出増加に伴う保育需要の上昇や、
企業主導型保育事業の整備による受け皿拡大により、
保育施設は整備されてきておりますが、
保育士の採用が追い付かない園が多くなってきています。
都市部では多額のお祝い金の支払いを提示する法人が出てくるなど、
限られた有資格者の奪い合いが起きつつあります。
このような中、保育士の処遇改善についても、
7月30日に行われた子ども・子育て会議にて、
今後検討が必要な事項としてあげられるなど、注目を集めております。
しかし、上記のように、うまく運用できずに逆に人財が流出してしまうといった危険性もあり、
計画的な運用が求められています。
では、どのように処遇改善加算を運用すればよいのでしょうか。
具体的には、
1.賃金改善計画
2.規定作成
3.事前認知
4.運用
の4つの段階に分けて準備を進めていく必要があります。
1.賃金改善計画では、保育園・認定こども園・企業主導型保育事業等に
勤務している職員数から総支給額を計算し、何名の職員を対象とできるのか、
どの職員を任命するのかを決定する必要があります。
また、どのような理由で賃金を改善するのかも決定しておく必要があります。
園の採用計画や、研修計画、システム構築やマニュアルの整備など、従来理事長などの
経営幹部が直接行っていた業務を現場職員へ委譲していき、
経営を合理化していく目的で業務に携わる職員を決定しましょう。
特に採用に関する業務を委譲することで、
園運営に参加しているという意識が保育士の中でも高まり、
モチベーションの向上を見込めるためおすすめです。
2.規定作成では、制度がなくなった場合には
打ち切ることを明記しておくことをおすすめしています。
また、自治体によって規則の明記の仕方が異なることがあるので、自治体への確認が必要です。
3.事前認知では、どのような業務に携わる職員を何名任命するのか、
どの程度の額を与えるのかを職員全体に向けて告知します。
きちんと説明しておかないと、不公平感から、保育士の退職理由にもなり得るので、
ここはきちんと周知しておく必要があります。
4.運用にあたって、対象職員との個別面談は必須です。
副主任やリーダー候補者とは1対1で面談し、
等級別賃金体系表、昇格基準表、現状の辞令、給与額の確認を行い、
これから携わる業務についての確認を行いましょう。
ここできちんと対象の職員に期待することを伝えることで、
職員の有能感を高め、モチベーションが高まります。
また、委譲する業務についてはできるだけ本人に任せるようにして、
保育士自らが考えて進められるようにすることで自律性を高め、
モチベーションを高めることができます。
上記のようにきちんと計画を立て進めていくことで、
運用が難しい処遇改善加算も効果を最大限に高めて利用することが可能です。
弊社では、企業主導型保育事業者向けに開催している企業主導型保育事業研究会の中で
処遇改善分科会を開催し、企業主導型保育事業での処遇改善加算の運用について
実際に運用している法人様同士の情報交換会とともに、お話しさせていただいております。
また、保育園・幼稚園・認定こども園の経営者向けの
新時代保育園・幼稚園経営研究会でも随時処遇改善加算についての最新情報をご提供しております。
ご興味がおありの方は各研究会無料でお試し参加を受け付けておりますので、
是非下記よりお申し込みください。
また、現状の法人に勤務している保育士のモチベーションはどのくらいか、
処遇改善加算の運用によって保育士のモチベーションが実際に高まっているのか、
などの検証には弊社の実施している組織力診断の受診が非常に有効です。
法人の働く環境・組織の力を船井総研のコンサルタントが
議論とトライアルを重ねて開発した9つの視点から診断します。
法人の課題が明確になるうえ、比較指標があるため法人の強みや
改善のポイントが明確になります。
こちらもあわせて有効に活用することで、
職員がやりがいを持って働ける園づくりを実現して頂ければと存じます。
最後までお読みいただきありがとうございました。