意向調査の時期に考える!認定こども園移行を考える3つの要素

2020年7月20日配信

テーマ:
こども園移行

認可保育所からの認定こども園移行における考え方

いつもご愛読いただき誠にありがとうございます。
株式会社船井総合研究所 保育園・こども園グループ 尾上翔太郎(おのうえしょうたろう)です。
本日は認可保育所から認定こども園への移行について、お伝えさせていただきます。

新型コロナウイルス等の影響により地域ごとに差はありますが、各都道府県や自治体より認定こども園への移行に関する意向調査が実施される時期に差し掛かって参りました。
実際に弊社へご連絡いただいた法人様からは、「意向調査の提出締切が迫っているのですが、移行した方が良いのでしょうか?」というご相談をいくつかいただいております。

そこで今回は認可保育所が認定こども園移行を考える3つの要素について改めてお伝えさせていただきます。

幼保業界における園運営において考えなければならないのは、①商圏内対象人口、②シェア、③一人当たりの単価です。この3つの要素で園運営の収入が決まります。

この3つの要素で考えると、認可保育所の置かれている状況は下記のように整理することができます。

商圏内人口…減少(都市圏を除く)
シェア…上昇
一人当たりの単価…上昇

この3つの要素について、一つ一つ見ていきましょう。

まず商圏内人口についてです。
皆様ご存知の通りですが、日本全国の人口は減少傾向にあり、厚生労働省の「令和元年(2019)人口動態統計の年間推計」によると、2019年には出生数が86万4,000人と、初めて90万人を下回る結果となっています。また、都市圏への集中も進んでいるため、地方ではさらに人口の減少が進んでいます。したがって、都市圏を除く地域の商圏内人口は減少することが予想されます。

続いてシェアについてです。
こちらも皆様ご存知の通りではございますが、保育所等の利用率は上昇傾向にあり、厚生労働省の「保育所等関連状況取りまとめ(平成31年4月1日)」によると、2019年度は就学前児童の45.8%が保育所等を利用しています。今後も保育所等の利用率は上昇する可能性が高いため、シェアは上昇することが見込まれます。

最後に一人当たりの単価についてです。
内閣府の「令和2年度単価表の保育所(保育認定)」と「令和元年度下半期単価表の保育所(保育認定)」を比較してみると、地域ごとに差はありますが、104.95%(3号認定乳児の場合)となっています。したがって、一人当たりの単価は上昇傾向にあると言えます。

上記を踏まえると、認可保育所のままで大丈夫かと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、ここでさらに考えなければならないのは、【将来のシェア】と【認定こども園における一人当たりの単価】です。

将来のシェアは、地域における保育所等の増加によって下がることがあります。特に近隣の幼稚園が認定こども園に移行することによって、2・3号認定の受入を開始する園が増えている地域ほど、この傾向は強くなります。地域における保育ニーズの上昇と2・3号認定の定員増加がどのような推移になっているかは把握しておく必要があります。このシェアの低下は、1号認定を付加することにより受入枠を拡大させることで防ぐことができるため、認定こども園移行を検討すると良いと思います。

そして、認定こども園における一人当たりの単価についてですが、令和2年度の認可保育所と認定こども園単価を10/100地域の2・3号認定100名定員、保育標準時間認定4歳以上児という同じ条件で比較してみると、103.7%となります。同じ地域及び定員でも認可保育所よりも認定こども園の方が一人当たりの単価が高いため、その分園運営の収入が増えることがわかります。この部分も移行を検討する上で考えるべきポイントになります。

このように、3つの要素で認可保育所の置かれている状況を考えると、認定こども園への移行にメリットがあることがわかります。しかしながら、認定こども園の運営における理想を実現することは簡単ではありません。それは、受入枠や子育て支援を担う役割等、国や自治体が求めていることが、認可保育所と認定こども園で異なるためです。例えば、小学校との連携に対する考え方です。子どもたちのスムーズな小学校への入学のため、現時点で何か取り組んでいることはあるでしょうか?この部分は認定こども園に移行する段階では軽視されがちですが、本来は移行を検討する際に最初に考えるべき最重要事項となります。そこで、次回のコラムでは認定こども園の運営における理想を実現するための考え方についてお伝えさせていただければと思います。認定こども園移行は、法人のビジョンを実現するための手段に過ぎません。移行を迷っている法人様はこの辺りも踏まえて検討していただけると良いかと思います。

株式会社 船井総合研究所 尾上翔太郎
Mail:s-onoue@funaisoken.co.jp

出典:
厚生労働省 令和元年(2019)人口動態統計の年間推計(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/suikei19/dl/2019suikei.pdf
厚生労働省 保育所等関連状況取りまとめ(平成31年4月1日)(https://www.mhlw.go.jp/content/11907000/000544879.pdf
内閣府 【資料2-2】令和2年度単価表(案)及び【資料2-3】留意事項通知について(https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/administer/setsumeikai/r020221/pdf/s2-2_3.pdf
内閣府 保育所(保育認定)(https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/law/kodomo3houan/pdf/seisyourei/r011001/tanka-2.pdf

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