船井総研の平成30年度企業主導型保育事業の概要・ポイントの解説

2018年2月14日配信

テーマ:
企業主導型保育

平成30年度企業主導型保育事業の募集について

いつもありがとうございます。

船井総合研究所の堀内(ほりうち)です。

前回のコラムでは、企業主導型保育事業で30年度の
制度変更で意識する点をお伝えしました。

今回のコラムでは5月15日に児童育成協会から発表された
「平成30年度企業主導型保育事業の募集について」

6月4日に児童育成協会から発表された
「企業主導型保育事業費補助金実施要綱(案)」
の内容を分析した結果についてお伝えしようと思います。

「平成30年度企業主導型保育事業の募集について」

まず「平成30年度企業主導型保育事業の募集について」ですが、
募集期間が2018年6月15日から7月31日になっていることは
皆様もご存じの通りかと思います。

ただ、今回の募集に関する大きな変更点は

「審査会」の設置です。

平成29年度の第2回目の申請時には
「【二次募集にあたっての留意事項】
第二次募集に当たって、平成29年度予算の範囲を超えて申請があった場合、
本事業の、仕事と子育ての両立に資するという目的に照らし、
保育所等の待機児童対策、従業員等の多様な働き方に応じた
保育の実施であるかという観点から総合的に判断して
助成決定することがありますので、ご承知おきください。」

とあり、審査はあくまで「予算を超えて申請があった場合」に限られていました。

ただ、今回はそのような文言が書面にはなく、
「審査に当たっては、申請内容が、本事業の目的である、
多様な働き方に応じた保育を提供するものであるか、
待機児童対策に資するものであるかなどの観点から
児童育成協会で審査・選定を行った上、助成決定を行います。」

とのことで、審査が大前提となっています。

審査の際の優先項目としては

①多様な働き方に応じた保育の提供
・早朝開所(7時以前開所)を実施する。
・夜間開所(22 時以降開所)を実施する。
・休日開所を実施する。

②待機児童対策への貢献
・施設設置予定の市区町村における、認可保育所等への入所申込みを行ったが、
入所できなかった人の数の多寡。

③その他
・中小企業による設置
(共同利用の相手先が確保されている場合には更に評価)

の3つです。

②に関しては外部要因になりやすいですが、
①、③に関しては、設置事業者が対策を打てる部分でもあるので
現段階から検討しておくべきです。

「企業主導型保育事業費補助金実施要綱(案)」

さて、6月4日に発表されたのが
「企業主導型保育事業費補助金実施要綱(案)」です。

施設整備費に関しては
全体的に補助金額上限が増えました。

大きな変更の1つとしては
「共同設置・共同利用連携加算」という新しい加算項目が加わったことです。

やはり、共同利用先を増やしていくのは
今後大きな優先項目の一つになりそうです。

運営費に関してはいくつも変更点がありますが
今回は大きな変更のみ取り上げます。

まず、基本分単価に関して、「中小企業」向けと
「中小企業以外」向けの分類ができました。

基本分単価の一般知識になりますが、
「基本分単価」-「利用者負担相当額」=「実際に支払われる補助金」
となります。

つまり、きちんと上記計算をした上で、傾向を考えなければいけません。

まず、中小企業向けに関しては
どの定員でも、どの地域でも、どの保育士比率でも
支払われる金額が上がっています。

一方で、中小企業以外向けにはある顕著な傾向があります。
まず、定員に関しては6~12名までの3歳児以上以外は
支払われる金額が減っています。

しかしながら、保育士比率50%に関しては支払われる金額が増加しています。
このことから、積極的な「無資格者」採用が今後進むかもしれません。

また、6月14日に平成30年度企業主導型保育事業の助成要領が発表されました。
こちらも企業主導型保育事業助成金実施要綱と同様であくまで(案)ではありますが、
実施要綱では明確にされていなかった、実際に申請するに当たって必要な情報がより具体的に記載されております。

大きな変更点として、提出書類として社会保険料と各種税金の未納を証明する書類の提出が求められたこと。

去年まではあくまで「こども子育て拠出金」の未納を証明するだけでよかったのですが、
今年度はそれだけでは不十分で他にも書類の提出が必要になりました。

また、決算報告書も去年までの「2年分」から「3年分」の提出が求められております。
このことから設置主体の財務状況が審査で重要な項目になるかもしれないと予想できます。

この場でお伝えできることには限界があるので、
細かい内容については是非下記のURLをクリック頂き経営相談にお越し下さい。

https://www.funaisoken.co.jp/form/consulting/index.html?url=hoiku-kodomoen.funaisoken.co.jp#_ga=2.177605350.290867912.1528940891-1085216898.1510289855

『企業主導型保育事業』の注目すべき“3つのポイント”

前回のコラムでは、企業主導型保育事業を設置する上で

意識しなければいけない点をお伝えいたしました。

今回はいろいろな噂も出始めている
平成30年度の企業主導型保育事業の注目すべき下記の
3つのポイントについてお伝えしようと思います。

①定員増加数が2万人
②地域枠の緩和
③割増償却の開始

 

①定員増加数が2万人

みなさんご存知のように、企業主導型保育事業は平成28年度に約2万人の定員分が設置され、
平成29年度の当初は3万人分の増加が見込まれていましたが、
結果として、2万人分の追加予算が組まれ、最終的には1年間で約5万人に近い定員数が増えました。

つまり、「普通」に申請を受け入れていると、年間5万人分の定員が増加するといえます。

さて、題にもあげた平成30年度の「定員2万人」の増加を考えると、
状況によってはなんらかの基準で事業者の選定が行われる可能性もあり得ます。

ヒントが平成29年の第2次募集の際に記載された文言にあります。

2017年8月15日公開
『【二次募集にあたっての留意事項】第二次募集に当たって、
平成29年度予算の範囲を超えて申請があった場合、本事業の、
仕事と子育ての両立に資するという目的に照らし、保育所等の待機児童対策、
従業員等の多様な働き方に応じた保育の実施であるかという観点から総合的に判断して
助成決定することがありますので、ご承知おきください。』

何か、分かるような分からないような・・・

正直にお伝えすると、「なんらかの基準」で事業者選定が行われる可能性があるという、
不透明な状況でもあります。
(一説には、待機児童数で判断するのでは?という声もありますが・・・。)

同時に、今年度同様に追加予算が組まれる可能性もまたゼロではないので、
リスクは意識しつつも、行うのであれば、ある程度は進めていくしかなさそうです。

②地域枠の緩和

現在、企業主導型保育事業を行う上では、50%以上を従業員枠という名前で
自社の従業員、または、連携企業の従業員のために残しておかなくてはいけませんでした。

この50%ルールが撤廃されそうです。

全国で、「待機児童はいる」、「保育士もいる」、「保育室もある」が、
「従業員枠」だからという理由で使われていない多くの枠があるようです。

この活用が叫ばれていることが背景にありそうです。
いずれにせよ、自社内の利用者があまり見込めない企業様にとっては朗報です。

③割増償却の開始

「個人又は法人が、平成30年4月1日から平成32年3月31日までの間に、
企業主導型保育施設用資産の取得等をして、その保育事業の用に供した場合には、
3年間12%(建物等及び構築物については、15%)の割増償却ができることとする」
という税制上の優遇が新たに始まります。

一般的に建物の減価償却期間は数十年に及びますが、
割増償却が可能になれば、最大45%は3年間で償却できるということがいえます。

長期的な運営が見込みにくい事業者にとって、こちらも朗報です。

このほかにも多くの新しい制度変更等の情報が聞こえてきます。

設置に向けて、不確定な部分も多いですが、
「不確定」だからと動かないと、いつの間にか締切を逃してしまうかもしれません。

設置をご検討中の方は、早めの準備を強くおすすめします!!!

堀内

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