2021年の「保育業界」を考える

2021年10月22日配信

テーマ:
時流・業界動向

2021年の「保育業界」を考える

いつもコラムをお読みいただきありがとうございます。
船井総研の堀内です。

2021年度の「待機児童数」と「保育所利用児童数」

例年9月に発表される待機児童が8月の末に発表されました。

ご存知の方も多いかもしれませんが、令和2年4月時点が12,439人だった待機児童数は、令和3年4月時点で5,634人と約半数に減少しました。

一緒に公表されている「保育所等関連情報取りまとめ」を基本として少し因数分解してみようと思います。

まず新型コロナウイルスの影響もありながらも、0-5歳の保育所利用児童数は増加しています。
数字を見てみましょう。

【保育所利用児童数】
令和2年4月⇒令和3年4月
0歳児:151,362人⇒146,361人
1,2歳児:958,228人⇒958,974人
3歳児以上:1,627,709人⇒1,636,736人
全年齢:2,737,359人⇒2,742,071

上記のように利用児童数の総数は増加しているものの、0歳児のみ利用児童数が大きく減少しているのが分かります。

さらに追い打ちをかけるように令和2年の妊娠届け出数は令和元年比較で‐4.8%ということでますます出生数の減少も見込まれています。

ただ、上昇し続けているものもあります。
それは保育所利用率です。

令和3年4月時点の正式な保育所利用率は公表されていませんが、0-5歳の保育所利用率を船井総研にて試算すると49.8%となり昨年度と比較すると、₊2.1%近くになります。

つまり、保育所利用率は上昇し続けている一方で出生数が減ってくるというこの掛け算でこれからの保育所利用児童数は考えるべきです。

地域の「保育所利用児童数」はこれからどうなる?

上記のようにマクロの把握も必要ですが、各園のある地域にどの程度の「保育所利用児童数」がいるのかも把握が必要です。

子どもの数が減っているからという理由でニーズが減るという判断は少し考える余地があるかもしれません。

日々、全国の自治体の保育課の担当者の方々と話していると自治体の担当者ですら保育ニーズを正確に把握できずに困っている印象を持ちます。

そんな時に我々から自治体の担当者にお伝えするのは、まず過去の地域の子どもの数の推移状況と、保育所利用率の推移を把握することです。

子どもがすでに減少トレンドに入っている地域でかつ、その地域の保育所利用率が全国の保育所利用率と同程度であれば、文字通り「保育所利用児童数」は減少傾向になりえます。

一方で都市開発等があり、子ども数はまだまだ横ばい状況で、全国の保育所利用率よりも地域の保育所利用率が低ければまだまだ「保育利用児童数」が上昇トレンドに入る可能性もあります。

この辺りを肌感覚ではなくしっかりと数字を基にして判断しておいてください。

それによって園の経営方針が大きく変わってくるはずです。

保育所利用率を基に考える

さて、「保育所利用児童数」の話もしましたが、保育所利用率についても大いに考える余地があると思っています。

先ほど、船井総研の試算で令和3年4月時点の0-5歳児の保育所利用率が49.8%とお伝えしましが、年齢別に細分化すると

【保育所利用率】
令和3年4月
0歳児:17.1%
1,2歳児:52.5%
3歳児以上:58.1%
全年齢:49.8%

となります。
この数字を見たときにどのように感じられますでしょうか。

個人的には約半数の子どもたちが保育所と関わっていないとも言えると思います。

先日、「こども庁」の議論を推進されている参議院議員の山田太郎先生と意見交換をさせていただいたときにも改めて感じましたが、いままでは保育所をいかに利用できるかが主題でしたが、これからは保育所を使っていない子たちのサポートをなにかできないかという議論があってしかるべきだと考えています。

「いかに保育園に通ってもらうようにするか」の議論ももちろん大切ですが、少し俯瞰した「園に通わない子たちとどんな接点を持てるか」も考えてみてもいいように思います。

また詳細についてはコラムで書こうと思います。

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