新内閣発足で 補助金・加算制度はどう変わっていくのか
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船井総研 保育・教育支援部の児玉です。
就任記者会見から見る 保育業界への影響
去る10月4日、岸田内閣が成立しました。
今回の就任記者会見で、岸田首相は保育士等の処遇改善や市場自体を大きくすることに
非常に前向きな発言をされていらっしゃいます。
(以下 9月29日の記者会見より)
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さらに、今回私が特に総裁選挙で訴えていたのは、公的価格の見直しという部分です。
すなわちコロナ禍でも大変苦労されておられる、
看護師の方とか、介護士の方ですとか、あるいは保育士の方々、
こうした方々の給料はそもそも、仕事の大変さに比べて給与が低いのではないかという指摘がありました。
ただ、こういった方々の給与は国が決めることができるものです。
ぜひ、こうした従来から働きに比べて給与が少ないと言われている方々の公的価格は国が率先して、適正に引き上げることを考えたらどうか。
そのことが民間の給与の引き上げにも呼び水となって広がっていくことができるのではないか
– 中略 –
先ほど言いました、看護師、介護士、あるいは保育士といった方々の給料を考えても、
例えば医療に関する市場というのは40兆円の市場だと言われています。
介護の市場は10兆円の市場だと言われています。
この市場の中での分配のあり方、そもそも市場自体を大きくすることもしっかり考えながら、適正に分配されているかどうか、
これを考えるのが財源という意味で重要であると思っています。
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加算制度等の活用と労働分配率について
保育事業は 事業の自由度が限られ、政府からの助成金・補助金が収入の大半を占めますので、
継続的に安定運営を行う為には、制度の活用が不可欠です。
そろそろ来年度の職員配置の検討や採用にも力をいれはじめる時期ですが、
職員の採用・配置を考える際に加算をしっかりと取れるように設計されているでしょうか。
今回の首相発言には「適正に分配されているかどうか」など、分配」という言葉が何度も出てきます。
これはこれからの助成金事業に於いて「労働分配率」が意識されていくと考えての運営が必要になっていくのではないかと感じています。
一番わかりやすい例が「処遇改善加算」ではないでしょうか。
処遇改善加算はご存じの通り、職員のキャリア制度を整えるなど、職員の為の法人内制度を整える事で、助成金が加算されますが、
その多くの金額を職員の人件費に使う事となっています。
つまり、事業者へ交付されますが、使途制限がかかっており、労働分配率を高める為の制度と言えるでしょう。
今後は、こういった助成・補助金が増える事も考えられますし、労働分配率について見られる時代が来るのかもしれません。
古くからある制度としては、「主任専任加算」や「3歳児配置加算」などは、現場の人手を多くすることで
ミスを防止し、より良い保育を提供すると共に、現場の負担感を軽減出来る為、これも職員の待遇改善に繋がる物です。
これらも実質的に、多くが人件費に費やされる事になりますので、労働分配率の向上に寄与します。
これらの制度は、しっかりと活用しても 法人としての利益は薄いように感じますが、考え方によっては、
今のうちからこういった制度をしっかりと活用する事で、
短期的には、未だ実施できていない近隣園に比べ、給与や社内制度の充実で差別化を図る事が出来、
長期的には、職員の配置や労働分配率の「これから求められる形」に法人を対応させていく事が出来る
と思っています。