幼稚園が認定こども園へ移行するメリットとは?施設給付型幼稚園の手厚い教育・保育

 

幼稚園から認定こども園移行を検討する際のメリットについて

いつもご愛読いただき誠にありがとうございます。

株式会社船井総合研究所 教育グループ 居村朋哉(いむらともや)です。

本日は幼稚園から認定こども園へ移行した場合のメリットについてお伝えさせていただきます。

人口減少が進み、保育所が多数新設され、さらにそこに拍車をかけるように新型コロナウィルス感染症が拡大し、濃厚接触を避けることが出来ない幼保業界は他の業界と同様に大きな打撃を受けています。

そのような中、園児募集活動が例年通り実施することが出来ず、願書配布数・提出率・園児充足率ともに例年より10~20%落ち込んだ園様も中にはいらっしゃるかと思います。

そこで、平成27年度以降ずっと考えていた「認定こども園」について、改めてお考えになられた経営者様も多くいらっしゃったのではないでしょうか。

今回はそのような経営者様向けに、改めて幼稚園から認定こども園に移行する際の園側のメリットについて改めてお伝えさせていただきます。

メリットは複数ございますが、今回は大きく3つに絞ってお話させていただきます。

1.就労の有無に依らない受け入れ態勢の構築
2.施設型給付金(公定価格)による手厚い教育・保育の実施
3.処遇改善等加算による採用力強化

1.就労の有無に依らない受け入れ態勢の構築

今まで「保育所は共働き世帯」、「幼稚園は専業主婦世帯」という実態とイメージがありました。

しかし、現実には幼稚園にお子様を預けているご家庭の中には共働き世帯の方もいらっしゃるとは思われますが、それでも比率をみると専業主婦世帯の方が多いのが実態です。

いくら預かり保育が充実しているからといっても、長時間の預かりを希望されるご家庭の場合、保育所に預けることが一般的です

加えて、景気が上向くような要因も今のところ見受けられないため、より共働きが増えていくことが見込まれます。

そのような状況で冷静に考えると、

  • 人口減少が止まらない
  • 共働き世帯が増えている

という状況となっているため、幼稚園が主にターゲットとしてきた「専業主婦世帯」は減少していくことが明らかです。

「地域・エリアとして専業主婦世帯が多い」という事も当然ありますが、そのような園の場合、保護者はよりよい園を探すため、競争が激化するという事態は避けられません。

幼稚園から認定こども園に移行するメリットの1つである「就労の有無に依らない受け入れ態勢の構築」という事が実現すると、上記で取り上げた「共働き率が増えている」という事態の対策を講じることが出来ます

そのため、永続的な園経営のために、認定こども園へ移行しターゲットを拡げるといった施策を改めて検討してみてはいかがでしょうか。

また、そのようなお話をさせて頂く際によく理事長・園長先生からお話をお伺いするのは

うちの園では既に預かり保育を充実させているから、認定こども園になる必要がないんじゃないかな?

というお話です。

このような場合においても、認定こども園移行を検討するメリットはございます。

それは次の「施設型給付金(公定価格)による手厚い教育・保育の実施」でお話させていただきます。

2.施設型給付金(公定価格)による手厚い教育・保育の実施

認定こども園に移行すると、私学助成金から施設型給付金(公定価格)と呼ばれる補助金に大きく変わります。

何が違うのか大まかに説明する以下のようになります。

  • 私学助成金はあくまでも保護者から徴収する料金を経営の主軸としながらそれを助成するという形で支払われていた補助金
  • 施設型給付金(公定価格)は、この補助金単体で園経営が成り立つ(一部保護者徴収あり)程度の経営の主軸となる補助金

上記のようになります。

そのため、支給されるタイミングは私学助成金の場合は「3か月、半年、1年」等大きな期間を空けて支給されます。

しかし、施設型給付金(公定価格)は基本的に毎月請求を自治体に上げて、毎月支給されます。(自治体ごとの違いはあります。)

話を戻しますが、施設型給付金のメリットの1つとしてあげた「施設型給付金(公定価格)による手厚い教育・保育の実施」についてご説明して参ります。

これは施設型給付金(公定価格)に用意されている様々な加算による恩恵です。

具体的に申しますと、

  • 3歳児配置改善加算
  • 満3歳児対応加配加算
  • チーム保育加配加算

といった内容になっています。

上記のほかにも様々加算が用意されているため、詳しくは内閣府のHPでご確認いただければと思います。

このように施設型給付金(公定価格)は人を手厚く配置することが出来る仕組みが整えられておりますので、認定こども園移行のメリットとしてはかなり大きい部分となります。

しかし、「人を多く配置できるとしてもその人を採用できなければだめではないか」というお話が次に出てくると思いますので、「処遇改善等加算による採用力強化」についてご説明して参ります。

3.処遇改善等加算による採用力強化

処遇改善等加算は平成25年から始まり、平成27年に新制度とともに整備され、平成29年に先生方のキャリアアップのための加算である「処遇改善等加算Ⅱ」が新設されました。

私学助成にも処遇改善が用意されているケースもございますが、都道府県ごとに仕組みが違ったり、金額が少なかったりと、まだまだ制度としては弱いものになっています。

しかし、施設型給付金(公定価格)による処遇改善等加算は、職員によっては月額4万円以上の処遇改善を公費で実施することができるため、移行前後で年間約50万円近くの増収となる職員も出てきます。

このように施設型給付金(公定価格)の処遇改善等加算は私学助成金の処遇改善とは大きく異なり、職員に対して潤沢な支給を行うことが出来ます。

ただ、園側としても処遇改善等加算を使用する際には給与規定や評価制度を整備しなければ、適切な運用ができず、先生方がなぜ給与が上がったのかわからずモチベーション維持が難しくなるため、注意が必要です。

いずれにしろ、公費でこれだけのお金を支給することが出来るため、職員採用の際に大きな追い風になること間違いありません。

最後に

いかがだったでしょうか。

今回は幼稚園から認定こども園に移行する場合の園側のメリットについてご説明させていただきました。

認定こども園移行を考える際の1つの参考資料にして頂けますと幸いです。

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