【企業主導型保育事業】小規模園でもできる!上手な処遇改善加算活用のためのキャリアパス構築《2》

2019年12月20日配信

テーマ:
企業主導型保育

キャリアパス構築のステップ(4)~(6)

前回のコラムでは、「【企業主導型保育事業】小規模園でもできる!上手な処遇改善加算活用のためのキャリアパス構築《1》」(https://hoiku-kodomoen.funaisoken.co.jp/post-3620/)をお伝えさせて頂きました。
まだ読まれていない方は最初に《1》に目を通していただければと思います。

前回のコラムでもお伝えしましたが、キャリアパス構築のポイントは下記の6つです。
①定員ベースでの加算対象職員の算出
②加算対象とする役職の創出・賃金改善額の設定
③加算対象となる役職を設けた組織図の作成
④各役職の業務内容の明確化
⑤組織図にリンクした評価・賃金制度の作成
⑥職員への周知・研修体制の構築

前回のコラムでは、①~③についてお伝えさせて頂きましたので、今回は、組織図作成後のステップである、④~⑥について、お伝えさせていただきます。

④各役職の業務内容の明確化
組織図の作成ができれば、組織階層ごとの業務内容を明確化する必要があります。
組織図上で副主任や職務分野別リーダー等の役職を作っても、役職についてない職員とさほど業務内容が変わらなければ、いずれ職員の中から不満が出て来て、退職者が出る等うまく処遇改善等加算の運用ができなくなります。そこで、組織図作成時に作った役職ごとにスキル・職責・職務内容を明確化しておく必要があります。
現在も副主任等の役職があり、その役割を担っている方がいれば役職ごとに業務の棚卸を行い、業務内容・権限を明確化しましょう。現在その役職に就いている方がいない場合、さらに上の役職(社長・理事長・園長・主任)等の業務の棚卸を行い、社長・理事長が行っている業務で移譲可能なものを園長や主任に、園長や主任が行っている業務で移譲可能なものを新たに設けた副主任等の役職に落とし込んでいきましょう。新たに設けた役職の業務内容を明確化し、賃金改善の根拠を明らかにすることで職員間の不公平感や不満を軽減し、さらに社長や理事長の業務負担を軽減することで、経営に集中できるようになります。

⑤組織図にリンクした評価・賃金制度の作成
④で各役職の業務内容の明確化ができていれば次に求められている業務内容に達しているかを客観的に判断するための指標を作成しましょう。
具体的には、
 ①能力・行動・業務の遂行に関する評価項目
・法人理念・方針の理解、社内ルールの徹底
・責任感・積極性
・報告・連絡・相談等
 ②保育の内容に関する評価項目
・子どもの育ちや内面への理解を踏まえた保育の計画
・計画に基づく環境の構成
・子どもに対する援助・指導の課程等

 ③保育の実施・運営に関する項目
・安全・衛生管理
・職員組織のマネジメント
・人財育成等
の項目に分け、それぞれ作成しましょう。
作成のポイントはそれぞれの項目について、どこまでできていればよいか具体的に評価の基準を決めておくことです。同じ職員を評価する際に、評価者によって評点が大幅に変わることのないよう、できるだけ客観的でぶれにくい基準を定めておく必要があります。

⑥職員への周知・研修体制の構築
最後は作成した組織図~評価制度を全職員へ周知しましょう。
賃金改善の具体的な内容について職員に対して周知することは処遇改善等加算の加算要件にもなっておりますので、新たな組織図を公開し、評価制度導入にあたっては導入説明会・考課者研修をおこない、評価を行う目的を明確化しましょう。また、制度導入にあたっては導入しっぱなしにするのではなく、定期的に評価項目の見直しを行い、園の運営に即したものとなるように心掛けましょう。職員に対しても、半期に一回や年に一度の評価だけを行うのではなく、個々の目標を設定し、定期的に面談を行い目標の達成度を確認しましょう。また、評価実施後は必ず評価者からのフィードバックを行い、設定した目標と自己評価の乖離の理由・日々の保育で具体的に意識して行ったこと、その結果・次の目標の設定に際して目指す姿の確認をしておくことをお勧めします。目標の設定~フィードバックまでのサイクルを繰り返し、職員のやりがいの創出・保育の質の向上につなげていくことが可能です。

以上です。

最後までお読みいただきありがとうございました。
【吉田健人】

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