キャリアパス構築のステップ(1)~(3)
いつもコラムをお読みいただきありがとうございます。
船井総合研究所の吉田健人(よしだけんと)です。
前回のコラムでは、
「0からわかる企業主導型保育事業での処遇改善等加算の申請・活用について」
(https://hoiku-kodomoen.funaisoken.co.jp/post-3159/)お伝えさせて頂きました。
そこで、運用にあたっては準備が大切とお伝えさせて頂きましたが、
その後たくさんの方から、
「小規模園で職員が少なく、キャリアパスを構築するのが難しい」
「加算事業の職員が対象外になるため、賃金を合わせるため
結局園の持ち出しが増えてしまった」
「開園して1年ほどしかたっておらず、どの職員を対象者に任命したらよいかわからない」
「パート職員が多く、処遇改善加算の運用が難しい」
「処遇改善加算Ⅱの対象職員に任命していた方が辞めてしまった」
「最終的には経営者が感覚で加算対象者を決めてしまい、
職員から不満の声が多く上がった」
等の声を頂いております。
処遇改善加算Ⅱの取得のためのキャリアパスを構築しようとしても、
小規模の園だと、そこまで多くの役職がなく、評価制度自体も明確なものがない園が
多いのではないでしょうか。
そこで今回から、小規模の保育園でもうまく処遇改善加算Ⅱを活用するための
キャリアパス構築のステップについてお伝えさせて頂きます。
キャリアパス構築のポイントは下記の6つです。
(1)定員ベースでの加算対象職員の算出
(2)加算対象とする役職の創出・賃金改善額の設定
(3)加算対象となる役職を設けた組織図の作成
(4)各役職の業務内容の明確化
(5)組織図にリンクした評価・賃金制度の作成
(6)職員への周知・研修体制の構築
本日は
(1)定員ベースでの加算対象職員の算出~③加算対象となる役職を設けた組織図の作成
までをお伝えします。
(1)定員ベースでの加算対象職員の算出
前回のコラムでもお伝えさせて頂きましたが、処遇改善を運用する上では
自園で処遇改善加算Ⅱの対象職員を何名任命することができるかの把握が
必要不可欠です。
そのため、まずは定員ベースで副主任相当・職務分野別リーダー相当に
何名任命できるか見積もっておくことが大切です。
定員12名~19名の園であれば、副主任相当2名・職務分野別リーダー相当1名と
なることが多いですが、一度自園での任命可能人数を計算してみることを
おすすめします。
(2)加算対象とする役職の創出・賃金改善額の設定
加算対象職員数が明確になれば、次は自園で加算対象となる役職を設定する
必要があります。
一般的には「副主任保育士」「専門リーダー」「職務分野別リーダー」などの
役職を設定している園が多いですが、これら以外の名称を使用することも可能です。
また、副主任相当の数に関しては、算出した人数÷2(一人未満の端数切り捨て)の数を
確保していれば、残りの額に関しては、一定の技能・経験を有し、施設内で相応の役割に
応じた発令等を行っているその他の職員に月額5 千円以上4 万円未満の範囲で処遇改善を
行うことが可能です。
ですから、計算上副主任相当の数が2名となっていても必ずしも4万円の改善を行う職員を
2名任命しないといけないわけではありません。
また、この月額5 千円以上4 万円未満の改善には、給与水準のバランス等を踏まえて
主任保育士等に配分することも可能です。
(小規模園で副施設長を配置している園は少ないですが、保育現場で必要な専門性を有し、
中核的な役割を担っていると認められる場合には、副施設長についても対象とすることが
可能です)
これらを踏まえて、自園で処遇改善加算Ⅱの対象となる役職・改善額の設定を
行いましょう。
※いずれの場合も賃金改善総額は算定した額を超えるよう設計が必要です。
(3)加算対象となる役職を設けた組織図の作成
加算対象となる職員数が明確になれば、次に加算対象の役職を反映した組織図の作成を
行います。
この時のポイントは、今いる職員を役職に当てはめていく形で作成するのではなく、
2~3年先を想定した理想の組織図を作成することです。
小規模園であれば、職員数自体が少なく、多くの役職を設定できないという悩みを
よくご相談いただきますが、組織図の作成にあたっては、現状の人数にとらわれずに
まずは理想的な階層の組織図を作成してみて下さい。
既に組織図がある場合は、そこに②で設定した役職を入れていきます。
ここで作成した組織図をもとに職員を任命していくわけですが、必ずしも
すべての役職に誰かを任命する必要はありません。
処遇改善加算Ⅱを取得するための基準額以上の改善をしておけば、現段階では
対象職員不在の役職があってもかまいませんので、ここでは組織階層の明確化を
意識した組織図作成を行います。
組織図を作成した後は、
(4)各役職の業務内容の明確化
(5)組織図にリンクした評価・賃金制度の作成
(6)職員への周知・研修体制の構築
と進めていきます。
詳しい内容については、今後のコラムで追ってお伝えさせて頂きます。
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