2018年保育・こども園業界の振り返りと2019年に向けた経営のキーワードとは!?
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価値ある貢献ができる園、施設、そして法人になるために
みなさん、こんにちは。
船井総研の大嶽です。
さて、早いものでもう今年も師走となりました。
今年も保育業界に関して、様々な動きがありました。
・学童保育の規制緩和の流れ
・相次ぐ労務トラブル
・幼児教育無償化の実質決定
・包括方式導入の気配
・企業主導型保育の申請殺到
・株式会社の上場およびM&Aの増加
・保育士不足のさらなる深刻化
ざっと挙げただけでも、たくさんの動向があった
ことが分かると思います。
これらを踏まえて、保育業界におけるの現状の経営課題は、
1.中長期見据えた精度高い事業成長シナリオのプランニング
2.保育士不足下での人財採用戦略
3.保育の質向上を目的とした人財の質向上・定着・育成
の3つに集約されます。
1については、今や施設開発や新業態転換しようと思えば、
いくつも選択肢のある時代です。
例えば、
・社会福祉法人の認可保育園がこども園になる
・学校法人のこども園が企業主導型保育を始める
・地方の法人が都心部に進出する
・株式会社の中小企業で小規模保育事業者が認可保育園を始める
・株式会社中堅大手企業が地方展開を始める
・株式会社中堅大手企業がM&Aで買収する
などなど、このあたりは全て当社の新時代保育園幼稚園経営研究会
の会員企業様の事例です。
このように選択肢がある時代は、その選択のための決断力と
判断力が重要になります。
その際に、需要や時流を読み取れるか、中長期の長いスパンで
財務含めた経営ができるかが経営者の重要な仕事になります。
当社では、今年も「経営計画合宿」を開催しました。
これはまさにこのプランニングを短期集中で行う場です。
普段は経営が近視眼的になりがちなので、このような場は
非常に貴重だと参加者からもお声をいただきました。
2の「保育士不足下での人財採用戦略」については、もはや
都心部、地方部関係なく、深刻な課題になっています。
当社の新時代保育園幼稚園経営研究会や、各都道府県、
自治体、保育団体でも講演させていただきましたが、個人的には
今年は徹底的に採用の手法をお伝えしたつもりです。
来期以降の採用のポイントを列挙しておきます。
・新卒採用は長期的な育成採用を強化する(養成校の学年別計画)
・力相応にHRtecを導入する
・自社の採用における強みやUSP(Unique Selling Proposition)を明確に定義する
・ダイレクトリクルーティングの強化(indeed以外も)
・採用担当、採用専門部署を設置する(新卒5名以上、中途10名以上採用する場合は特に)
・リファラル採用・SNS採用の確立
この辺りはぜひ来期も新時代保育園幼稚園経営研究会で
具体的にノウハウをお伝えしていく予定です。
最後に、「保育の質向上を目的とした人財の質向上・定着・育成」
です。
今年会員様や個別ご支援先様からの相談で多かったのは、
・辞める保育士が増えた
・期中で辞める保育士が出た
などの離職に関する声です。
人材が不足し、超売り手市場化している背景から考えても、
致し方ない側面もあります。
しかし、採用のミスマッチ、職場環境の悪化などの内部要因を
理由に離職が増えているケースがほとんどです。
特に今年重要になったのが、
・保育方針・保育内容の統一化
・業務負担軽減のためのデジタル導入
・処遇改善等加算に伴う人事評価制度の導入
です。
この領域は、これからますます保育品質の低下懸念がある中で、
当社としても力を入れていくつもりです。
しかし、これらも大切なのですが、根本課題は、
・上司への信頼度がない
・理念に共感ができない
といった、ベーシックな部分での組織の脆弱さがあることに
気づいていない経営者が多いことです。
経営者でなくても、園長との関係で離職する人財が年々増えています。
これは人材不足の中で、園長の品質も低下しているケースも散見され、
まずここから底上げしていかないと組織が回らないということです。
引き続き当社でも、
・保育方針・保育内容の統一化
・管理職のマネジメント能力向上
・業務負担軽減のためのデジタル導入
・処遇改善等加算に伴う人事評価制度の導入
・時代に即した教育制度の構築
については、会員企業様、個別クライアント様に具体的なノウハウを
お伝えしていきます。
長くなりましたが、来年も業界は様々な動きがある1年になることは
間違いありません。
その中で、子どもたちや保護者、そして職員、社員、さらには地域に
とって、価値ある貢献ができる園、施設、そして法人になるために、
このメルマガでも情報発信を充実させていただきたいと思います
ので、引き続きご愛読のほどよろしくお願いいたします。
最後になりますが、本年も当メルマガをご愛読いただきまして、
誠にありがとうございました。
良いお年をお迎えください。