「こども大綱」から読み解く令和6年度の保育業界の動向

2024年4月8日配信

テーマ:
時流・業界動向

いつもお読みいただきありがとうございます。
株式会社船井総合研究所の永田屋でございます。

本日は昨年末に発表されたこども大綱を読み解きながら、今年度以降の保育業界の動向を考えるうえで押さえておきたいポイントについて解説いたします。

いよいよ新年度がスタートし、保育事業者の皆様におかれましては新体制での運営に日々お忙しくされていることかと存じます。令和6年度は、昨年発足した子ども家庭庁で検討・議論がなされてきた各種施策が、実行フェースに入っていく年になってまいります。こども誰でも通園制度や、75年ぶりの保育士の配置要件改善など、様々なトピックが皆様のもとにも届いているかと思います。

本日は、こども大綱をはじめとする各種方針や資料に基づき、令和6年度以降の業界がどのように移り変わっていくのか、またそれをもとに事業展開をどのように考えていくべきかについてお伝えをいたします。

「こども大綱」から読み解く今後の業界の方向性

こども大綱については、昨年末にこども家庭庁より公表がされており、すでにご覧になられた方も多いかと存じます。今年度以降、国としてどのような方向性で施策を展開していくのかの方針をまとめた資料になりますので、もしまだ見られていないという方は「こども大綱」で検索してご一読いただければと思います。

こども大綱をはじめとする各種施策の根底にある課題意識として、歯止めのきかない少子化の進行があり、政府は2030年までを少子化を反転させるラストチャンスとして、様々な施策を検討・展開しています。その中には経済的な支援や社会の意識改革など多面的な施策が盛り込まれておりますが、事業展開に直結してくる部分だと子育て支援のさらなる拡充があります。

こちらも様々な方面の施策が記載されており、ここですべてを紹介しきることはできませんが、基本的には「すべての」子どもを支援するという考え方にもとづいています。資料の中には「切れ目のない」や「ライフステージを通じて」などといった表現がたびたび登場しますが、困難を抱えていたり、従来の支援の枠組みではカバーしきれないような子どもに対しても、誰一人取り残すことなく支援していくという考えのもと、施策が組み立てられています。

例えば貧困を抱える子どもや家庭の相談支援や居場所づくり、学習機会の提供であったり、障がいがあったり医療的ケアを必要とする子どもへの専門的支援の強化およびインクルージョンの推進などが明記されています。これは従来の一般的な保育施設では扱うことができなかった支援についても範囲を広げ、より拡充していくことが打ち出されています。

また児童虐待やヤングケアラーなどの家庭内の問題にも踏み込み、伴走型の相談支援やプッシュ型の支援をより拡充するなど、より子どもや家庭に近いところでの課題にアプローチする取り組みも示されています。

さらには犯罪や自殺などからこどもを守る安全教育の拡充や、異文化教育、アントレプレナーシップ教育、STEAM教育といった先進的な教育内容の充実を図る旨も記載されており、日々の保育・教育活動にも影響を与える可能性があります。

ここでご紹介したのはあくまで一例ですが、このような各種取り組みにより、「こどもまんなか社会」の実現を目指すことが、この数か年での大きな方針となっております。

このような国の方針を踏まえ、現在各自治体においてこども計画が策定されており、それに基づいて各種事業が地域で展開されていくことになります。今後皆様の地域においても、上記に関連した制度や、新たな補助事業が始まってくる可能性がございます。

子ども・子育てに関わる事業についてはその性質上、利用者から得る収入だけでは事業を維持することが困難なケースが多くなっています。どんなに社会的意義があったとしても、収入が安定しないことで踏み切れなかったり、維持・拡大が難しいことが多いかと存じます。そのようなある程度補助金に依存せざるを得ない業界ではありますが、新たな制度や補助の時流に乗ることで、事業展開のチャンスをつかむことができるというとらえ方もできます。子ども・子育て支援新制度の開始や、企業主導型保育事業の開始などのタイミングにおいては、その流れに乗って施設数や事業規模を大きく伸ばした事業者様も多くいらっしゃいました。当然時代背景や環境はどんどん変わっていっていますが、「制度ありき」の事業が中心である以上、新たな情報にアンテナを張っておくことは事業を維持・発展させていくうえで非常に重要になります。

こども大綱において大枠は示されましたが、具体的な事業の要件や詳細はこれから議論が進んでいくことが考えられます。引き続き最新情報には注目していただき、今後の事業展開を考える一助としていただければと思います。

保育業界時流予測セミナー2024


本日はこども大綱とそれに基づく事業運営のポイントについてお伝えをいたしました。

船井総研では、保育業界の時流予測セミナーを開催しています。本日の内容に興味・関心がある方は、ぜひ内容をご確認いただき、具体的な準備にお役立ていただけますと幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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