補助金を活用した学童保育事業への参入のポイント
いつもお読みいただきありがとうございます。
株式会社船井総合研究所の永田屋でございます。
本日は学童保育事業への新規参入のポイントについてお伝えいたします。
学童保育施設は、主に小学校低学年の子どもが過ごす場所として運営されていますが、近年「小1の壁」問題として報道などでも取り上げられるように、まだまだ受け皿が不足しており、待機児童も1万人近くで高止まりしている現状があります。昨年閣議決定された政府の「こども・子育て支援加速化プラン」においても、新・放課後子ども総合プランの着実な実施に改めて言及がなされるなど、今後もその受け皿整備は拡大していくことが見込まれています。
一方で運営する地域や形態、規模などによって運営条件や収支に差があるため、参入が難しかったり、適正な収支規模を維持しにくかったりと、様々な困難が立ちはだかる場合があります。社会的なニーズの高まりを見せる学童保育について、参入することでどのようなメリットがあるのか、具体的に実施するにあたりどのようなことを検討していくべきかについて解説いたします。
学童保育に参入するメリット
保育事業者が学童事業を行うメリットはいろいろなものがありますが、まずは在園児と卒園後もかかわり続けられるという点があります。収入面では一人の子どもに関わる期間の延長に伴うライフ・タイム・バリューを増加させられるほか、運営面でも乳児期から学童期に至るまで一貫して保育が行えることで、提供できる保育の質の向上を図ることができます。施設間の職員で情報共有を行うことで、スムーズに引継ぎが実施でき、卒園後も切れ目のない支援が実現可能になります。
配置する職員についても保育施設・学童双方で兼務が可能で、より柔軟な職員配置ができるようになるほか、職員の多様なキャリア選択の可能性を広げることにもつながります。
また一口に「学童保育」と言っても様々な形態がありますが、放課後児童クラブの委託・指定を受けることで、補助金を受け取りながら安定的に運営を行うことができます。加えて多くの場合は学校や周辺施設を活用して実施されており、一般的には大規模な初期投資が不要というメリットもあります。
学童保育参入に向け具体的に検討すべきこと
一方で、具体的に実施を行うとなると、行政より委託・指定を受ける必要があり、どこでも希望する場所や時期でできるものではいため、自分たちが開設を希望するエリアで学童施設を受託するチャンスがあるのかをまずは行政とすり合わせていくことが求められます。
また運営にあたっては、原則行政の公募・プロポーザルを勝ち抜く必要があります。案件によっては学童施設の運営経験が豊富な事業者が競合となることもあり、提案力でそのような競合他社を上回らなければ、運営を委託されることはできません。加えて一般的には公募が公表されてから1か月程度で締め切られることが多く、そこからのスタートだと準備が間に合わないというケースも散見されます。参入を検討しているのであれば、行政や地域が求めているものは何か、それに対し自法人で何ができるのかを整理し、提案を形作っていく準備が必要になります。
また運営の規模や委託料は自治体やエリアによって様々なため、しっかりと自法人で採算をとって運用していくことができるかも、併せて検討が求められます。最小の支援単位(40名程度以下)であれば、年間の委託料が数百万円程度になってしまう場合もあるため、事業として安定的に運営していける規模感を確保できるか、事業計画を事前に立てておくということも重要になります。
学童保育参入を具体的に検討していくために
本日は学童事業への新規参入にあたっての考えるべきポイントについてお伝えをいたしました。
参入することで法人全体にメリットをもたらす一方で、しっかりと事前に検討・準備すべき事項もあるため、ご関心のある方は本日の内容をぜひ参考にしていただけますと幸いです。
船井総研では、2024年5月~6月にかけて、学童保育についてのオンラインセミナーを開催いたします。学童事業に興味・関心がある方は、ぜひ内容をご確認いただき、具体的な準備にお役立ていただけますと幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。