「保育業界の『再編』」と今後の業界動向
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皆様いつもお読みいただき、ありがとうございます。
船井総研の堀内です。
前回、「令和6年度は保育業界の大きな変わり目」というタイトルで
「新子育て安心プラン」と「子ども・子育て支援事業計画」の変わり目が
令和6年度末にやってくるというお話をしました。
今回の記事では「保育業界の『再編』」をテーマに、
保育業界で今どのような再編が行われているのかをお伝えしたいと思います。
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「保育業界の『再編』」とは何か
前回のコラムでも触れたように、少子化の影響や待機児童数の減少に伴い、新たな保育所整備は減ってきています。
もちろん、一部の地域では人口動態の変化などで整備がまだまだ必要な場合もありますが、
数年前と比較するとやはり件数的には落ち着いてきたと言えるでしょう。
当社のコンサルタントである永田屋が数年間毎月、全国主要地域の公募情報をチェックしてくれています。
以前も少しコラムで書きましたが傾向として見られるのは
*新設の公募は継続して出ているが、エリアは絞られよりピンポイントになっている
*公立園の民営化情報は大幅には増えていない
*医ケア特化園など特殊な案件にまで手を出す法人は少ない
*学童の指定管理等の案件で、既存事業者だからといって継続して受注ができていない
とのことです。
とはいえ、数年前の公募件数と比較すると、民営化にせよ新規の立ち上げにせよ、
案件数が減ってきている中での公募となっています。
人気の公募案件に関しては、大手の保育事業者や地域一番園が名乗りを上げており、
公募資料ひとつとってもかなりレベルが上がっているように感じます。
保育所の新規立ち上げをお考えの場合に必要なこと
まだまだ新規で保育所を立ち上げたい場合は公募への参加が必要となる場合が多いため、
①公募情報の収集
②公募資料のブラッシュアップ
は必要です。
ちなみにですが、①に関しては当社の新時代保育園経営研究会の皆様には毎月チャットでお送りしておりますので、ぜひ興味のある方はご入会をお願いします。笑
そして②の公募資料については、いままで何度も公募にチャレンジしている園だとフォーマットが固まってきているかと思います。
一方で、時代に合わせてライバル法人も公募資料のブラッシュアップを重ねてきています。
数年前のフォーマットだと競合相手との内容に不足がある場合があります。
ぜひ他の法人がどんな内容を書いているのかご確認いただくといいと思います。
私たちも様々な公募資料を拝見しますが、この2~3年でも公募資料で求められているものが変化してきているように感じます。
いかに地域の実情・課題を理解しているか、この辺りの確認は必須ですね。
今注目される「M&A」について
さて、保育所の「公募」について書いてきましたが、いま注目をされているのはいわゆるM&Aです。
中堅大手の保育事業者の方とお話すると、「毎日のように売り案件が来る」とおっしゃる方が多くいます。
いま、市場に多く出ているのは主に小規模保育所や小規模の企業主導型保育事業の売り案件です。
今後の将来性をどのように考えるかはありますが、興味のある人はチャンスかもしれません。
また、中堅大手内でも保育事業者の売買は盛んにおこなわれています。
皆様もニュース等で「○○社が○○社の傘下に入った」などをご覧になることもあると思います。
様々な企業様からご相談いただきますが、大手事業者を中心に
まだまだ施設数を増やそうと考えておられる事業者の方もいらっしゃいます。
ただ、買収する際には採算の取れている園かどうかを見極めることが多いので、
いつか園を手放す可能性があるとお考えの経営者の方は、決算書の数字を意識した経営が必要です。
社会福祉法人の場合
上記のような話は、株式会社に限った話ではなく社会福祉法人内でも聞かれるようになりました。
社会福祉法人の場合はM&Aとは呼ばずに「合併」や「譲渡」といった呼び方をしますが、地方の園を中心に船井総研にも声がかかるようになってきています。大きな要因としては、後継者不足が多く、今後の園の安定性を考えたときに選択肢として譲渡等が視野に入るようです。
保育事業は急にやめることが難しい事業のひとつです。皆様がまだまだ保育事業で拡大していきたいのか、または縮小をお考えになっているかによって取るべき方法は異なりますが、今後園をどのようにしていくのか、再編が起こっているいまぜひお考えいただくといいかと思います。
堀内
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