2024年がスタートし、今年度も終盤に差し掛かっています。
年度末にかけて色々と忙しくなり始める時期かと存じますが、新年度のスタートに向けた準備は進んでおりますでしょうか。
今回は、年度末を迎えるにあたり改めて確認しておきたい処遇改善加算の計算・配分のルールにつきまして、基礎の基礎から改めておさらいしたいと思います。すでにある程度理解されている方には初歩的な内容になりますが、改めて全体像を把握したいという方にはぜひ参考にしていただければと思います。
処遇改善等加算Ⅰ
処遇改善等加算Ⅰは、非常勤職員を含むすべての職員を対象に支給が可能で、全体での賃金の改善を目的としております。
ざっくりとした計算方法としては、
(基本分単価+各種加算に含まれる処遇改善等加算Ⅰ)×各月の園児数
で算出でき、基本的には勤続年数の長さ、加算の取得状況、園児数の状況を変数として金額が変動するものとなります。
また処遇改善等加算1については、基礎分と賃金改善要件分で構成されており、このうち賃金改善要件分のみは確実に賃金に充当する必要があり、その金額を適切に把握したうえで、職員へ支給する必要があります。
年間のおおよその金額については、こども家庭庁より公表されている試算ソフトを用いることで計算ができますので、ぜひご活用ください、
https://www.cfa.go.jp/policies/kokoseido/jigyousha/
処遇改善等加算Ⅱ
処遇改善等加算Ⅱは、副主任保育士等及び職務分野別リーダー等に任命された職員を中心に配分可能で、施設で職員が長く働き、キャリアアップを目指すことを後押しすることを目的としています。
利用定員と在園児数、加算の取得状況によって算出される「人数A」および「人数B」それぞれに対し、副主任保育士相当にあたる「人数A」には月4万円を、職務分野別リーダー相当にあたる「人数B」には月5千円を支給する形になります。
加算対象職員の計算にあたっては、こちらもこども家庭庁より加算対象職員計算表が公表されていますので、各園の状況に合わせた数値を計算いただけますと幸いです。
https://www.cfa.go.jp/policies/kokoseido/
注意すべきは、実際に施設に支給される金額は、上記4万円・5千円よりも多い金額となる点です。これは支給額の中に施設側の法定福利費負担分も充当されているためで、支給された額をすべて職員に支払ってしまうと、施設側の持ち出し負担が大きくなってしまいますので、配分にあたってはご留意ください。
処遇改善等加算Ⅲ
処遇改善等加算Ⅲは、法人の役員などを兼務している場合などを除き全職員に支給が可能で、賃金のベースアップを目的としています。
金額は、
加算当年度の単価×加算当年度の加算Ⅲ算定対象人数
で計算ができます。加算当年度の単価については、施設類型によって若干の変動がありますが、令和5年度においては
保育所:11,000円/月
認定こども園:11,280円/月
幼稚園:11,560円/月
小規模A・B:11,000円/月
となっております。
算定対象人数については、処遇改善等加算Ⅱと同様にこども家庭庁の加算対象職員計算表を用いることで、数値を計算することができます。
https://www.cfa.go.jp/policies/kokoseido/
処遇改善等加算Ⅲの特徴として、「改善を行う部分の総額(当該改善に伴い増加する法定福利費等の事業主負担分を含む。)の3分の2以上が、基本給又は決まって毎月支払われる手当の引上げ」によって支給される必要があるため、年度末にまとめてではなく、一定額を毎月支払う必要がある点に注意が必要です。
本日は処遇改善等加算の基礎の基礎の部分について改めて整理を行いました。毎年少しずつルールが変わる中で、制度を正しく把握し、過不足なく支給することは容易ではない部分もありますが、今日の内容をもとに自園の計算・支給内容を改めて見直すヒントとしていただけますと幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。