いつもお世話になっております。
株式会社船井総合研究所の永田屋でございます。
2023年も年末が近づき、新たな1年の始まりが近づいております。2023年はこども家庭庁の発足やそれに伴う新たな子育て支援施策の拡充、待機児童の減少、不適切保育問題など様々な話題がありました。続く少子化の中で、保育業界は日々変化しています。新たな年を迎えるにあたり、来年以降自分たちの法人や園はどのようになっていきたいのか、どのようにその姿を実現していくのかを明確にしていくことが求められます。そのためには、2024年の保育業界を考えるにあたり押さえておくべき業界の変化をとらえ、正しく理解することが重要になります。
多様化する保育ニーズへの対応
「異次元の少子化対策」の中で、様々な新しい子育て支援施策が打ち出されており、保育所の認定基準の緩和や、「こども誰でも通園制度」などの話題についても、日々報道などで取り上げられております。これまでのように日中フルで保育を必要とする子育て家庭だけを前提とした保育ではなく、短時間・低頻度の利用や、特別な支援を要する家庭など、今まで施設と接点の少なかった子どもや家庭への支援が打ち出されており、これらの方々との接点が増える可能性があります。
子どもの数自体は減少が続く中で、これまでと同じニーズ層だけにアプローチするだけでは、自法人がサービスを提供できる顧客層はどんどん減少していってしまいます。そのような中で、上記のようないわゆる「無園児」への支援や、昨今では児童発達支援・放課後等デイサービスや、学童事業などの周辺領域への展開も広がってきております。業界構造や求められるサービスが変化していく中で、自分たちの法人が提供できる価値やターゲットについて、今一度見つめなおすことがより一層求められています。
厳しい状況が続く保育士の採用・定着
保育士の採用が困難であることについては、今に始まったことではございませんが、今後もその傾向が続くことが見込まれております。数年前の待機児童のピーク時と比較すると、保育士の有効求人倍率自体は減少傾向にあるものの、依然として全業種平均よりも高い水準で推移をしています。背景には高止まりする潜在保育士の問題や、新卒保育士数の減少などがあり、業界全体で大幅な改善が見込みにくい中で、昨今の不適切保育問題を受けより手厚い人員配置を求める動きもあり、人員の配置は厳しい状況が続いています。
そのような中で、職員の「定着」にこれまで以上に力を入れて取り組む法人も増えてきています。保育士の職場環境と言えば、残業や持ち帰りは当たり前、体力勝負の「ブラック」なイメージがありましたが、保育士から選ばれる施設になるために、職員にとって魅力的な働きやすい職場づくりを行い、安定的な職員配置につなげる動きが加速しています。採用市場が厳しいことには変わりありませんが、一度入った職員が辞めにくい、働きやすさ目当てに職員が集まってくる好循環を生み出せると、当然採用にかかる手間やコストを大幅に削減することができます。
具体的には、ICT化による書類業務や連絡業務などの事務作業負担の軽減、ライフステージが変化しても働き続けられる勤務制度の整備、また一人一人の能力を適切に把握し伸ばす評価・育成制度の構築などが挙げられます。保育業界の貴重な人材に長く安定的に活躍してもらうための取り組みについても、ぜひご検討いただければと思います。
本日は2024年に向けた業界全体の大きな流れ・時流についてお伝えいたしました。一朝一夕で取り組めるものではございませんが、中長期的に事業を安定化させるためにいずれも非常に重要な視点となります。来年に向けて、自法人の保育の在り方についてぜひ今一度ご検討いただけますと幸いです。
12月に開催される株式会社Gakken様主催の無料オンラインセミナーにて、本日取り上げました業界時流について解説させていただきます。ご関心のある方はぜひ下記より詳細をご確認ください。
「株式会社Gakken 2024時流予測セミナー 今後の業界動向・トレンド予測」
12/12(火)
https://hugmo.lmsg.jp/v2/seminar/35232/K7OmD2xE/?lfcpid=30735
12/14(木)
https://hugmo.lmsg.jp/v2/seminar/35232/Wxt2LdaT/?lfcpid=30735
12/20(水)
https://hugmo.lmsg.jp/v2/seminar/35232/5U1IgsVj/?lfcpid=30735
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