【企業主導型保育・制度対応】自社枠1割問題の解決方法

2023年6月6日配信

テーマ:
企業主導型保育

【企業主導型保育・制度対応】自社枠1割問題の解決方法

皆様
いつも保育園経営.com のコラムをご愛読いただきましてありがとうございます。
船井総合研究所の菅野 瑛大(かんの あきひろ)です。

企業主導型保育「事業」の安定運営に必要なもの

企業主導型保育事業の制度が発表された際に、多くの事業者の皆様は、
「まずは福利厚生を充実する」そして空いている分を地域に開放し
「地域貢献活動を行う」と考えられて取り組まれたのではないでしょうか?

一方でこの取り組みはボランティアではなく「事業」です。
その為、しっかりと収支バランスを取ることが重要なのは言うまでもありません。
事業性が担保されなければ、どんなによいものでも継続性が担保できなくなります。

地域枠の開放や企業枠の中でも共同利用契約枠(連携企業枠といわれることもある)を
活用することで、安定した園児募集を実現している園も少なくないでしょう。
しかし、企業主導型保育事業を「一般事業者型」で設置・運営している施設では、
定員の1割以上を企業枠の中でも「自社枠」での担保を求められるようになりました。

全国的に待機児童問題が徐々に解消されていく中でのこうした制度変更は、
園経営を難しいものにしていきます。
そこで、本コラムでは自社枠1割問題の解決に向けて、
✓ 自社枠が少ないことのリスク について考えたうえで、
✓ 自社枠を増やすための戦略  について解説していきます。

自社枠が少ないことのリスク

そもそも、皆様の園では自社枠が利用されていますでしょうか?
0-2歳対象12~19名の小規模施設園であれば、2名分の枠を確保しなければなりません。
仮にこの2名が通年で埋まらない場合、400~500万円の売り上げがつくれなくなります。
同等規模の園であれば、保育料等の年間実費徴収にも迫る金額になり得る規模です。
本来、事業として法人繰り入れができる分が○○運営に充てなければならない状況になっている可能性もあります。
もし、自社枠が活用されていない場合は、早急にロスシミュレーションの実施が必要です。
事業の継続性だけではなく、法人全体の利益を削りかねないものです。

何故、自社枠の利用が少ないか

それでは、何故自社枠の利用が少ないのでしょうか?
大きく理由は二つあります。
①自宅付近の園に入れることができた
②第二子目以降の場合上の子と同じ園に入れたい

冒頭にお伝えしたように、まだ道半ばではあるものの、待機児童は解消傾向にあります。
その為、保育園に入れやすくなってきており、「福利厚生を利用しなくても」よくなった、というケースです。
次にあげられるのは、兄姉と弟妹を同じ園に入れることで、保護者としても慣れた環境で、
送迎の負担も減らしたいという理由によるものです。

いずれも納得の理由ですが、「それでは、確かに仕方がないですね」で終わってはいけません。
共通してあるのは、仕方がないではなく「この園に預ける理由がない/弱い」という、
顧客に選ばれなかった=競合に負けている状況であるということです。

一方で、開園以来、自社利用が定員の半数以上を常に占めながらも、地域の方からも人気で、
その園に入るための待機・キャンセル待ちが発生する施設もあります。

自社枠の利用を増やすための戦略

保育事業の戦略を考えるうえで事業差別化の8要素
1.立地  2.規模  3.ストアロイヤリティ
4.商品力 5.販促力 6.接客力 7.価格力 8.固定客化力
のうち、特に、【4.商品力 5.販促力 6.接客力】が重要になります。
これらが、8.固定客化力(継続利用)そして3.ストアロイヤリティ(ブランド力)に繋がります。

本コラムではこの差別化の8要素の他に重要になるポイントをお伝えします。
それは、企業主導型保育事業を法人全体の事業戦略上の中心に置いているか否かです。
特に「人事戦略」との連動性がなければ自社枠の確保は困難を極めます。
どんなに【4.商品力 5.販促力 6.接客力】を提供しても、
そもそも使う対象者がいない若しくはその分母が小さければ、
利用されない、利用される可能性は低くなるのです。

つまり、法人全体の事業計画における人事戦略から自社枠の園児確保に努める
必要があるということです。

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