「企業主導型保育事業・新規募集終了」に伴い事業戦略を考える
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- 企業主導型保育
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新設・増員終了は追い風か?向かい風か?
ついに、正式に企業主導型保育事業における施設の新規募集及び定員増が今後実施されない旨が発表されました。
もちろん、3ヵ年計画での計画的定員増が認められている施設については、予定している定員までは増員できますが、それ以上増やすことはできません。
事業が落ち着いたタイミングで展開を考えよう、と考えていた経営者様や事業責任者様も多いのではないでしょうか?
今回の発表を踏まえて、急いで事業計画の見直しが必要になったケースも多いかと存じます。
今回のコラムでは、本発表をどのようにとらえるべきか、整理していきます。
デメリットだけではない、新設・増員の終了
企業主導型保育事業の新規募集・増員の終了を迎えて、追い風と向かい風、両方が吹いています。整理すると以下の通りです。
<追い風ポイント>
✔新規参入がなくなる
✔顧客(園児)の取り合いによる企業主導型マーケットでの優位性
✔企業主導型保育事業施設の認知拡大
<向かい風ポイント>
✔新規施設を開設できない
✔定員を増やせない
✔制度運用の厳格化
✔制度そのものが終了する不安
もちろん事業を考えるときにはリスクやデメリットを見て判断することが多いでしょう。しかし、こうした逆境に対して船井総研ではプラス発想、つまりどのようにしたら前に進むことができるのか、を考えます。
向かい風をつかんで上昇気流に乗る
新規施設を開設できない・定員を増やせないという悩みへは、まず一つ加算を上手に活用して事業の幅を広げる方法があります。
次に、制度運用の厳格化については、やはりウェルカムで受け入れるべきと考えます。なぜなら、これまであいまいだったルールや考え方が明確化されることで、制度への対応に悩まされることが少なくなります。意思決定のしやすさに繋がりますので、本来かけるべきところに時間を割くことができます。加えて、残念ながら発生してしまっている不適切な助成金運用している事業者が退場することにより、企業主導型保育施設の安全性そのものが担保されていきます。
制度そのものの終了については、現時点では考えない、ということがポイントです。基本には予算の出所が担保されている事業ですから、急な制度終了などはないと予想されます。また、こども家庭庁の新設に伴い、様々な状況が変化していきますので、動向をしっかり通っていくことが重要です。
このように、一見デメリットに見えるような状況もプラスに働きます。
業界が大きく動くときこそ、戦略が重要
上記では、一見すると企業主導型保育事業は安定的で心配がないように述べています。改めて意図を整理すると、あくまでもポジティブにとらえられる要素が多い、というだけで「楽観視してよい」というわけではありません。
そもそも、今回の新規募集終了は、待機児童数の解消が進んでいることが主な理由です。つまり、需要と供給が一致し始めてきていることを意味します。加えて、生まれる子どもの人数は予想をはるかに上回るスピードで減少しています。
市場環境が厳しくなると、生き残る法人・園/淘汰される法人・園の二極化が始まります。しっかりと時流の移り変わりに乗ることができれば前者に、そうでなければ後者になるのです。
生き残るためには、これまで通り、行き当たりばったりではうまくいきません。事業として制約も多くあるため、今ある施設や資産を120%活かさなければなりません。
その為には、現状を把握し、自分たちが進むべき道を決め、そこに到達するためのロードマップをひき、実行していくことが必要不可欠です。加えて、業界がどのように変わっていくかを予測しながら逆算していく必要もあります。
事業の中期経営計画×制度活用と予測をバランスよく行わなければなりません。
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