保育現場の「防災」の考え方
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保育現場の「防災」の考え方
いつもお読みいただきありがとうございます。
株式会社船井総合研究所の永田屋でございます。
今月上旬、東北地方や北陸地方で発生した豪雨災害は、当該地域に甚大な被害をもたらしました。被害が広範囲に及んだため、園に被害が出た、また直接的な被害はなくとも保護者や地域に影響を及ぼした、という方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。被害に遭われた皆様、関係者の皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。
近年においてこのような災害の発生件数は、日本全国で急増しています。災害は決して遠い地域の珍しい話ではなく、我々の身近にある存在であると言えます。
保育所は子どもたちの「命」を預かる施設であり、安心・安全な環境を作ることは保育所における大前提となります。無論、災害に対しても適切な備えや発生時の迅速かつ的確な対応が求められますし、その重要性は増しています。本日は保育所運営における「防災」に対する考え方、またその取り組みについてお伝えいたします。
保育所における災害に対する考え方
本メルマガでも既にお伝えしているように、保育の「質」がより高い水準で求められるようになってきています。待機児童が概ね解消し、保護者が園を選べるようになった今、質の低い園は淘汰をされ始めるという時代が始まっています。況やその前提となる安心・安全に不安のある園は、そもそも保護者の選択肢に入らないということも起こりえますし、情報がすぐに拡散する現代においては、たった一度の事故・事件が法人存続を揺るがすほどのインパクトを持っています。
災害リスク・運営リスクともに増加傾向にある今、皆様の施設ではそれらに対処する適切な取り組みを実践できていますでしょうか。結論をお伝えすると、これらのリスクに対処するためには、「当たり前のことを当たり前にやりきれるか」がポイントとなります。保育現場の防災において「これだけやっていれば大丈夫」という特効薬はありません。また地球規模で環境が変化している今、職員の力で災害をゼロにすることは不可能です。しかし、それが園にもたらす被害を最小限にするための小さな、そして「当たり前の」取り組みはたくさんあります。それらは決して目新しい特別な取り組みではないことが多いですが、その一つ一つを「当たり前に」きっちりやりきれるかどうかが、防災において最も大切なことになります。
防災の「当たり前」を実践するために
日々の防災の取り組みとして、防災計画の策定や避難訓練の実施、マニュアル策定や研修等、様々な施策を既に実施されている園がほとんどかと思います。ただ実態としては、作って戸棚にしまってあるだけ、実施しただけ、監査に通るためだけになっている園も多いのではないでしょうか。
これらの取り組みにおいて重要になるのは、「いかにその施設に合ったものになっているか」という点になります。計画や訓練、マニュアルについては、昔作ったものそのままであったり、外からもらったものをそのまま使っているというケースをよく目にします。また複数施設を展開している法人であれば、大部分が共通のもので対応しているというケースもあるかと思います。これらで監査はクリアできるかもしれませんが、いざ災害が起こったときに活用できるかはまた別問題となってきます。
起こりうるリスクや対処法は、その施設の立地や周辺環境、規模や構造、職員配置などによって大きく変わってきます。地域のハザードマップを活用した施設固有の災害リスクへの対応や、施設規模に合わせた防災の取り組みなど、施設ごとのカスタマイズを通し、施設固有の適切な防災を実施することが重要となります。
また資料として十分なものが用意されていたとしても、実際に対応するのは現場の職員であり、その内容を職員が行動に起こせるレベルまで浸透させておかなければ意味を成しません。マニュアルや研修で理解・浸透を図ることもできますが、おすすめの方法としては、経営陣主導で防災を進めるのではなく、現場主導で進める職員プロジェクトの編成があります。上から与えられた取り組みはどうしても受動的になりやすく、自分事になりにくい傾向があります。現場職員数名でプロジェクトを編成し、防災の現状整理や課題の設定、施策の実行、振り返りまでを一貫して実施してもらうことで、より現場に近い施策が展開されやすくなります。また自分たちで考えた取り組みになるため、浸透に向け主体的な行動を引き出しやすくなります。これらは防災に限らず、保育現場の様々な取り組みにおいて有効なため、まずは小さな規模からでもご検討いただけますと幸いです。
保育防災カンファレンス2022のご案内
本日は保育現場の防災に関する考え方ついてご説明しました。
様々な災害リスクが取り巻く環境の中で、安定的な園の運営を維持する難易度は年々高くなってきています。施設に合った防災を、職員一人一人に浸透させ実施するために、「当たり前を当たり前に実施する」ために、何か一つでも参考になりましたら幸いです。
9月1日~7日に開催される、「保育防災カンファレンス-2022-」に、弊社永田屋が登壇いたします。今日の内容を踏まえまして、ご関心のある方はぜひご参加いただけますと幸いです。
https://hoiku-bosai.com/
※詳しいお問い合わせは、後援の株式会社アイセールス様までお願いいたします。
最後までお読みいただきありがとうございました。