選ばれ続ける園づくり～「研修」という場を活かした人財の定着と育成について

いつもご愛読いただきありがとうございます。
（株）船井総合研究所 保育・教育支援部の樋口です。
 
保育園の経営相談の場で、よく議題としてあげられる人財定着と育成。
 
「せっかく職員を採用したのにすぐに辞めてしまう…」
「法人本部（企業主導型の場合は本業の経営陣や本部）と現場の考え方の乖離が起きている…」
「保育スキルだけではなく、先生方にはマインド面（人として）も成長して欲しい」
といったお声も頻繁にいただきます。
 
人財の定着や育成といっても考えられる施策は様々…
そこで今回は「研修」という切り口から、人財定着＆育成を取り上げます。
 
一言で「研修」といっても、現場のスキルアップ研修や処遇改善加算等を取得するために受講が必要な研修等、多くの「研修」があります。
本日はその中でも、特に人材の定着と育成に関連する研修についてピックアップしてご紹介できればと思います。
 
▼入職前研修
働き始める前に行われる入職前研修です。新卒採用をした際や新規開園をする際に行われることが多いです。
特に新卒の場合は、社会人として初めて働くため、マナーや言葉遣い、コンプライアンスに関する知識を得ることが重要です。
ただ、上記のような社会人として必要な項目を知るだけではなく、入職前研修のメインの目的は、“法人のビジョンや方向性を職員に周知すること”があげられます。
このタイミングから法人側が新入職員のマインドセットを行うことで、自分たちが今後どのように法人に貢献していくか、日常の保育等で判断を迷ったときはどこに立ち戻れば良いかを理解してもらいます。
法人としての考え方を事前に伝えておくことで、入職のタイミングから職員が同じ方向を向いて進めるように、ある程度のマインドを整えることができます。
 
▼法人の理念＆方針研修
“法人のビジョン（保育の方針・職員への待遇・地域への貢献 等）を職員により浸透させること”が目的の研修です。
入職前研修でマインドセットを行ったとしても、繰り返し実施していないと人は忘れてしまう生き物です。日頃の保育現場で感じたことや考えたことを職員同士で共有したり、話し合ったりすることで、改めて法人の掲げる理念や方針を具体的な事例として落とし込んでいきます。
また、法人として目指している方向や夢に“共感”する職員を育てることで、「この法人が好き！この法人だから働きたい！」という気持ちを徐々に芽生えさせていきます。
 
▼コミュニケーション研修
“職場内の人間関係を良好な状態にすること”が目的の研修です。特に保育業界ではこの“人間関係”が原因で転職や辞職される職員さんも少なくはありません。相手の気持ちを考える、人の嫌がることはしないと子どもたちに指導する立場でありながら、自身に置き換えると思いやりの心が不足している職員さんは残念ながら多いのも事実です。こういった人と人とのすれ違いを解消するための研修を行うことで、相手への思いやりの心を育て、職場の人間関係を良好な状態へと変化させていきます。
 
▼階層別研修
“担当する役割や立場や応じて必要なスキルを学ぶ”ことが目的の研修です。
特にマネジメント層においては、後輩や部下を“管理”するスキルが必要になります。
そういった中で、後輩や部下への“共感力”を広げていくことも求められます。“共感力”を上げることで、何か後輩に指導する場合でも、「○○さんにはこう言った伝え方をした方が納得してもらえるな」といった考え方（相手への思いやり）ができるような人財へと育てることで、本人の人間力の向上はもちろん、組織として下を育てるという風土の形成を促す効果も見込めるでしょう。
 
いかがでしたでしょうか？
一言で「研修」といっても様々なバリエーションがありますが、人財の定着や育成という観点からみると、研修の中に“共感”というキーワードを組み込むことがいかに重要かおわかりいただけたかと思います。
“共感力を鍛える”といった点にフォーカスして「研修」の内容やスケジュールを考えることで、“共感”する組織へ自分も貢献したいという想いをもつ職員を育てることこそが、人財が定着する組織をつくるために必要な第一歩といえます。
 
全職員が同じ方向を向いて進んでいる法人ほど強い組織、生き残っていく組織はありません。
研修計画策定の際はこういった、目の前の短期的な目的のためだけではなく、「研修」を通して組織を成長させる長期的な視点からも研修計画を立てていただければと思います。
 
最後までお読みいただきありがとうございました！
 

 
(株)船井総合研究所 保育・教育支援部
保育グループ　樋口 佳央
 
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