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今回は「業務効率化」をテーマに、ICT化を通じて教職員の主体性や創造性まで引き出すことに成功した認定こども園の事例をご紹介します。
「職員の残業が減らない」「事務作業に追われ、子どもと向き合う時間が足りない」といったお悩みはありませんか?
昨今、離職率の高さや幼稚園教諭等の需要の高まりによって、人材不足が深刻化している課題があります。
皆様の園でも課題として抱えているのではないでしょうか…?
国としてもこの課題を認識しており、文部科学省では「幼稚園・認定こども園における勤務改善事例集( https://www.mext.go.jp/content/20240521-mxt_youji-0000029432_1.pdf
)」が公開されています。
人材の確保や定着に向けては、先生方が子どもと向き合える時間を確保でき、かつ、継続的に働き続けられる勤務環境づくりが重要です。
今回は
①愛知県名古屋市に所在する「学校法人チルド学園」様
②宮城県名取市に所在する「学校法人寿なとり学園」様
の事例をご紹介します。
学校法人チルド学園 様
「どうせなんとかなる」が残業を生む。変革のきっかけは「外部との連携」だった
以前は「行き当たりばったり」で業務を行っており、行事が近づくと朝8時から夜19時頃まで職員が残っていることも珍しくありませんでした。
近年「残業」が悪として根強くなっていく中で、「行き当たりばったり」での業務のこなし方は採用にも影響を及ぼしかねない状況です。
その主な原因は、タスク管理やスケジュール管理が徹底されておらず、最終的には職員の「マンパワー」でなんとかしてしまう文化にあったと言います。
この状況が大きく変わるきっかけとなったのが、運動会の会場を外部のスポーツセンターに変更したり、ダンスの振り付けをプロの業者に依頼したり、といった「園外の人との連携」でした。
外部の業者や関係者が関わることで、「スケジュール管理をしっかり行わないと、業務がうまくいかなくなる」状況が生まれたからです。
園内の職員だけで完結する仕事であれば、多少の遅れも「なんとかなる」かもしれませんが、社外の人に「急いでやってほしい」と無理を言うことはできません。
特に、前職で厳しい納期管理を経験してきた岩井先生にとって、「締め切りを伸ばす」ことは、多くの関係者に頭を下げて回らなければならない「ものすごく大変なこと」という認識がありました。
意図的に「締め切りを簡単に動かせない状況」を作り出すことで、「行き当たりばったりではどうしようもなくなる」という意識が生まれ、業務計画をきちんと立てて実行する文化が根付いていったのです。
まずは、発表会や運動会など、一つの行事から外部の専門家の力を借りてみてはいかがでしょうか。
それが、職員の働き方を見直し、残業をなくすための大きな一歩になるかもしれません。
発表会の衣装、毎年作っていませんか?業務負担を劇的に減らす『やめる』技術
意識改革の次にこの園が取り組んだのは、業務の中でも特に負担が重い発表会や運動会の準備における「やめる」ことの徹底でした。
<発表会でやめたこと>
• 衣装を新しく作ること:過去の衣装を丁寧に保管し「リバイバル」する、もしくはハロウィン後などのセール時期を狙って購入しストックしておくことで、作成の手間を省いています。
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演目をゼロから考えること:演目も「リバイバル」が基本です。兄弟関係で内容が被らないよう6〜7年前のものを採用するなど配慮しつつ、約20種類あるストックの中から選んでいます。台本もデータ化されており、クラスの人数に応じて調整する程度で、一から作ることはありません。
<運動会でやめたこと>
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小学校の校庭での実施:小学校の工事をきっかけに体育館での実施に変更したところ、テントの設営やグラウンドのトラック引きといった準備作業が大幅に削減されました。保護者からは「運動会っぽくない」という意見もあったものの、「雨で流れる心配がない」「お弁当を作らなくてよい」「日焼けしない」など、むしろ喜ぶ声が多く寄せられたそうです。
これまで「当たり前」とされてきた準備作業を一つひとつ見直し、思い切って「やめる」決断をすることが、職員の負担を大幅に削減し、残業ゼロへの道がひらきます。
皆様の園でも「やめられること」はないか、一度見直してみてはいかがでしょうか。
学校法人寿なとり学園 様
コミュニケーションの滞りと常態化した残業…課題解決の第一歩は「1人1台のiPad」
日々の業務において、コミュニケーションの滞りや情報伝達のミス、職員同士の連携不足が深刻な課題となっていました。特に、行事前の残業も常態化し、職員から不満の声も上がっていました…
本部長の佐藤肖一郎先生は、ICT活用に着目し、職員に1人1台、キーボード付きのiPadを配布することから始めました。「まず職員全員がいつでも事務作業ができる物理的な環境を整えること」これが大切という考えがあったのです。教室間を走り回らなくても、紙に記録している議事録を回し読みしなくても、教育・保育終了後に課外教室を受講する園児が誰なのかを職員室に聞きに行かなくても、iPadでどこにいても園の最新情報にアクセスすることができる体制を整備しました。
成功の核心は全5回の研修とAI活用!「楽しむこと」で職員が自発的に変わる
ここまでは、皆様の園でも一度は考えられたことがあるのではないでしょうか?恐らく導入にあたっては、「金額の高さ」が大きな障壁となることも多いと思います。その観点では、佐藤先生は「迷いなく投資をした」ということになります。「迷いなく投資ができれば、職員の業務スピード向上と心理的ストレス低下に繋がる」のであれば、十分な投資価値はあるのではないでしょうか。ICTの導入(今回で言えば職員に1人1台、キーボード付きのiPadを配布すること)を「投資」として捉えるのであれば、「運用」も大切になっていきますね!成功の本当の鍵は、「運用」=手厚い研修にありました。全5回にわたる研修では、ツールの使い方だけでなく、「クラウドとは何か」といったITの基礎知識から、メールのビジネスマナー、デザインの原則、そして最新の生成AI活用法まで、幅広く学びました。
特に効果的だったのが、AIツール「Notebook
LM」の導入です。会議の音声をアップロードするだけでAIが自動で議事録を作成してくれるため、これまで多大な時間を要していた作業が劇的に効率化されました。この取り組みにより、残業はわずか2ヶ月でほぼゼロになりました。
さらに重要なのは、「ICTで仕事が楽しくなる」「保育教諭は本来クリエイティブな仕事で、その創造性を高める武器になる」というポジティブなメッセージを伝え続けたことです。その結果、「会議資料はiPadで見ればいいのでは?」といった改善提案が職員から自発的に上がるようになり、組織全体が主体的に変わっていったのです。「現場の時間が限られているからこそ、誰よりも効率化が必要」という考え方が、職場を大きく変革した事例です。今回、ご紹介した学校法人寿なとり学園
本部長
佐藤先生にご登壇いただき行事前の残業をゼロにし、職員のエンゲージメントを高める具体的な手法をお伝えするセミナーを開催します。「何から手をつければいいかわからない」という方でも、明日から実践できるヒントが満載です。貴園の働き方改革を、ここから始めてみませんか?
【来場セミナー】行事前の残業を0にし、職員のエンゲージメントを高める方法


【開催概要】
・2025年11月20日(木)14時~17時@船井総合研究所 大阪本社
・2025年11月27日(木)14時~17時@船井総研グループ 東京本社 サステナグローススクエア TOKYO(八重洲)
【参加料金】
・一般価格 30,000 円 (税込)/ 1名様
・会員価格 24,000 円 (税込)/ 1名様
※ ご入金の際は、税込金額でのお振り込みをお願いいたします。
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