皆様
いつも保育園経営.com のコラムをご愛読いただきましてありがとうございます。
船井総合研究所 子育て支援部の菅野 瑛大(かんの あきひろ)です。
現場の“困った”は「特定の人」か「同じような事象」
コンサルティングの現場において、多くの現場責任者(園長や主任、副主任、クラス担任級)の保育士の皆様とお会いします。
そうすると必ずといっていいほど、「マネジメントについての相談ですが・・・」とお声があがります。
ここでのマネジメントは確実に「人のマネジメント」です。
本コラムではこの内容について整理していきます。
具体的な“困った”
相談内容をルール化していくと大きく2つに分かれます。
1つ目は「特定の人の指導」に関する内容です。
・何度言っても改善されない ※最終的にこれに行きつきます
・普段の服装をはじめ身だしなみが気になる
・挨拶や言葉遣いが気になる
・保育への向き合い方やアプローチが気になる
・保護者への態度や対応が気になる
・・・・・・などなど
いわゆる「気になる職員」であり、何度も注意を行っていることで、役職者本人は勿論、周囲も疲弊してきます。
さらに、あるあるとしては、指導対象としている本人も何度も同じことを言われ続けることで、テンションが下がって、さらに仕事・業務へ悪影響が生まれるという負の連鎖です。
次に2つ目の「同じような事象」です。
最も多いのは「業務を任せてもスケジュール通りに出てこない」というものです。
これに端を発して「相談ができない」「自分で考えて○○できない」などのフラストレーションがたまっていきます。
視点を変える:「ひと」ではなく「こと」に着目する
上述した「特定の人」や「同じような事象」といった“困った”に直面した際、私たちはつい「あの人がなぜできないのか」という「ひと」に意識を向けてしまいがちです。
しかし、指導に行き詰まりを感じるときこそ、一度「ひと」から視点をずらし、「事実」や「事象」といった「こと」に注目することが解決の糸口となります。
例えば、「A先生がいつも書類提出に遅れる」と悩むのではなく、「書類提出が遅れるという事象が起きている」と捉え直します。
このように問題を「こと」として客観的に捉えることで、「なぜその事象が起きるのか」という根本的な原因分析に進むことができます。
課題を分解していくと、その原因は「ひと(自分)」だけではなく、「環境(もの)」、「伝達(情報)」など、さまざまな要素が絡み合っていることが見えてきます。
安全な作業環境か(リスク管理)、実行可能な手順か(現実性管理) 、そもそも業務の「手順」「内容」が正しく伝わり、「理解」されているか 、といった視点で課題を再点検するのです。
職員のタイプを見極め、仕事の寄り添い方を変える
「こと」に着目し、特に「業務を任せてもスケジュール通りに出てこない」 という事象を解決するためには、相手の仕事の進め方のタイプを見極めることが有効です。
仕事のスピード(時間)と正確性(質)の2軸で、職員を4つのタイプに分けてみましょう。
A-期日通りで修正もほぼ不要な人(質:高/時間:早)
このタイプは、基本的に仕事を任せることができます。 過度な干渉はせず、信頼して任せることが本人のパフォーマンスを最も高めます。
B-期日は守るが品質にバラつきがある人(質:低/時間:早)
スピードはありますが、仕事の丁寧さに欠ける傾向があります。このタイプには、「何を、どこまで、どのように」を具体的に指示し 、完成後のチェックを徹底することが重要です。
また、スピーディーな仕事に対しては、こちらもハイレスポンスで返してあげることが、さらなる成長を促します。
C-時間はかかるが一定以上の品質で仕上げる人(質:高/時間:遅)
仕事は丁寧で信頼できますが、スピードが課題です。このタイプには、仕事の初期段階で方向性のすり合わせをしっかりと行い、あとは信じて任せるというスタンスが有効です。 必要に応じて、短いミーティングで進捗を確認するのも良いでしょう。
D-知識や経験が伴わず、時間もかかる人(質:低/時間:遅)
このタイプは、業務への習熟度が低い状態です。場合によってはマイクロマネジメントが必要になるレベルであり 、タスクのスタートだけでも一緒に作業したり
、30分でも時間をとって定期的な進捗管理(定点管理)を実施したりといった、手厚いサポートが求められます。 場合によっては、その業務への適性を見直す必要もあるかもしれません。
「ひと」から「こと」へ視点を変え、組織の成長を促す
職員の指導・育成において、特定の「ひと」に悩み続けることは、役職者自身はもちろん、周囲の職員も疲弊させてしまいます。
大切なのは、一度「ひと」から離れ、「こと」=「事実・事象」に目を向けることです。
そして、その事象を引き起こしている職員の仕事のタイプを客観的に分析し、それぞれのタイプに合った適切な関わり方をしていくことで、状況は改善に向かいます。このアプローチは、職員の「成長」を効果的に推進し、結果としてマネジメント層の負担を軽減し、より良い園運営へと繋がっていくはずです。
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