いつも コラムをご覧いただきありがとうございます。
船井総合研究所 子育て支援部の児玉です。
厳しい暑さが続いておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。熱中症など、職員の皆様も子どもたちも、そして経営者の皆様ご自身も、どうぞご自愛ください。
さて、新年度体制も落ち着き、保育園経営において新たな課題が浮上してきている頃ではないでしょうか。具体的には、秋に向けて0歳児の入園希望が増え、追加の職員配置が必要になったり、あるいは、様々なご事情で4月には配置できていた職員が退職してしまったりと、「中途採用」の必要性がにわかに高まってくる時期かと存じます。
そこで本日は、私たちが日々コンサルティングを行う中で、特に効果が出ている中途採用の最新成功事例を3つ、具体的なポイントと共にご紹介させていただきます。
【事例1】潜在保育士の掘り起こし!「スポットワーク」の戦略的活用
最近、「タイミー保育士」といった言葉も聞かれるように、単発・短時間の仕事をマッチングする「スポットワーク(スキマバイト)」のプラットフォームが注目を集めています。
令和7年2月には厚生労働省から、スポットワーカーの安易な活用は長期的な関係構築や保育の質確保の観点から望ましくない、といった趣旨の事務連絡も発出されました。もちろん、日常的な職員配置基準をスポットワークのみで満たすことは推奨されません。
しかし、この仕組みを「採用活動の一環」と捉え直すことで、大きな効果を発揮します。ポイントは、求人を出す際に「保育士資格を持つ方向けの職場体験」「ブランクがあっても大丈夫!保育士復帰のきっかけにしませんか?」といったメッセージを明確に打ち出すことです。
実際に、この方法で募集をかけたとある法人様では、結婚・出産を機に現場を一度離れていた「潜在保育士」の方から「入職となるとハードルが高いけど、お試しなら」と実際に応募が複数ありました。その中の一人が、1日の体験勤務を通じて園の雰囲気や保育方針に共感し、「ここなら無理なく働けそう」と感じ、その後パート職員としての採用に繋がったのです。
一度現場を離れた方にとって、いきなり面接を受けてフルタイムで復帰するのは非常にハードルが高いものです。スポットワークを「お試し体験」の場として提供することで、復職への心理的なハードルを下げ、新たな人材との出会いを創出できるのです。
【事例2】「待ち」から「攻め」へ!成果に繋がるスカウトメール術
今や多くの採用サイトに実装されている「スカウトメール機能」。業界でもだいぶ浸透してきましたが、多くの園様のお話をお聞きしていると、残念ながらその機能を十分に「活用しきれている」ケースは稀です。
よくあるのが、「自園に『お気に入り登録』してくれた求職者にだけスカウトを送る」といった受け身の姿勢です。これでは、競争の激しい保育士採用市場で勝ち抜くことはできません。
活用のポイントは2つあります。
1つ目は、上限数まで送付する「攻め」の姿勢です。
採用サイトに登録している保育士は、まだ貴園の存在を知らないだけかもしれません。こちらから積極的にアプローチすることで、認知のきっかけを作ることができます。実際に、スカウトメールがきっかけで県外からの移住希望者の採用に成功した事例もあり、アプローチの量と範囲が採用の成果に直結します。
2つ目は、「その人」に合わせた訴求です。
求職者のプロフィールには、保有資格やこれまでの経験(例:「小規模園での勤務経験あり」「リトミックが得意」など)が書かれていることがあります。こうした情報を見逃さず、「当園も家庭的な雰囲気を大切にしています」「ぜひ得意なリトミックを子どもたちのために活かしてください」といった、パーソナライズされたメッセージを送ることが極めて重要です。
一件一件作成するのは大変ですが、昨今は生成AIを活用することで、個々の求職者に響く魅力的なスカウト文面を効率的に作成することも可能になっています。
【事例3】採用ミスマッチを防ぐ!「Instagram」による情報発信
もともとは園児募集や保護者とのコミュニケーションを目的に始めたInstagramが、結果的に職員採用に大きな効果をもたらした、というお話も頻繁に耳にするようになりました。
なぜなら、写真や動画は、求人票の文字情報だけでは決して伝わらない「園のリアルな空気感」を伝えてくれるからです。職員同士が和やかに談笑する様子、行事に向けて一丸となって準備する真剣な表情、子どもたちと心から楽しそうに関わる姿。これらは、求職者が抱く「どんな人たちが働いているんだろう」「職場の雰囲気はどうだろう」といった最大の不安を解消する、何よりの材料となります。
さらに、Instagramは採用のミスマッチを防ぐ「スクリーニング機能」も果たします。
例えば、行事が盛んで、その準備にも力を入れている園であれば、そのプロセスや職員の想いを発信することで、同じ価値観を持つ「行事を楽しみたい」という人材を惹きつけます。逆に、行事等に負担を感じるタイプの求職者は、その投稿を見て応募を避ける傾向にあり、結果として入職後のギャップを減らすことに繋がるのです。
もし、すでにある程度Instagramの運用が軌道に乗っているのであれば、一歩進んで「採用専用アカウント」を立ち上げ、先輩保育士へのインタビューや一日の仕事の流れなどを発信するのも非常に効果的です。
抜け漏れなく、「やりきる」ことが成功の鍵
本日ご紹介した3つの事例は、数ある中途採用施策のほんの一部です。大切なのは、自園の課題や状況に合わせて様々な施策を検討し、そして「これ」と決めた施策を中途半端で終わらせず、抜け漏れなく、徹底的に「やりきる」ことです。
求職者は、採用サイトだけでなく、SNS、口コミ、そして時にはスキマバイトのような新しいプラットフォームまで、あらゆる手段を使って次の職場を探しています。私たち園側も、旧来の手法に固執することなく、最新のトレンドやテクノロジー(生成AIなど)を柔軟に取り入れながら、多角的にアプローチしていく必要があります。
「中途採用の具体的な戦略を立てたい」
「自園に合った採用手法が分からず、困っている」
といったお悩みを抱えていらっしゃる経営者の皆様は、ぜひ一度、弊社にご相談ください。それぞれの園の状況や課題に合わせて、専門のコンサルタントが伴走しながら、採用成功までの道のりを全力でサポートさせていただきます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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