処遇改善等加算一本化で変わること・変わらないこと②

いつもコラムをお読みいただきありがとうございます。
株式会社船井総合研究所の吉田健人です。

本日は令和7年度から一本化された処遇改善等加算について、
前回に引き続き変更点をお伝えします。

前回のコラムでは、
主に職員全体のベースアップを支えた旧「処遇改善等加算I」と、
特例臨時交付金から移行した「処遇改善等加算Ⅲ」が、
一本化によってどのように変わったかをお伝えしました。

今回は、副主任保育士や専門リーダー等の処遇改善となる、
旧「処遇改善等加算II」に焦点を当てます。

この旧処遇改善等加算Ⅱの役割が、一本化後の新しい加算体系の中でどのように位置づけられるのか。本コラムではその役割を引き継ぐ部分を「区分③(質の向上分)」として、その「変わること」「変わらないこと」をお伝えいたします。

旧処遇改善等加算Ⅱから区分③質の向上分へ

旧「処遇改善等加算II」の役割の再確認

役割: 中核的な役割を担うリーダー層(副主任保育士、専門リーダー、職務分野別リーダー等)のキャリアアップを促進し、その専門性や役割に応じた処遇改善を行うための加算でした。
対象: 一定の経験年数(おおむね3年や7年)を持ち、キャリアアップ研修を修了して、園が定めた役職に就く職員が対象。月額5,000円~最大4万円の賃金改善が可能でした。

処遇改善等加算一本化後の区分③質の向上分での変更点

金額の算定について
これまでの旧処遇改善等加算Ⅱでは算定の基礎となる職員数をもとに積算される人数A・Bの数に基づき、金額が算定されていましたが新しく一本化された処遇改善等加算では当時の人数ABと、キャリアアップ研修の修了者(副主任等相当については令和8年度3分野、令和9年度以降4分野・職務分野別リーダーについては1分野)を比較し、研修修了者が人数ABに満たない場合は、当該研修修了者数により算定することとなっております。
ただこちらの取り扱いについては5月にFAQが更新され、、令和7年度に限り、令和6年度に加算Ⅱの認定を受けていた施設・事業者においては、令和7年4月1日時点で在籍していた職員について、加算額算定に係る研修修了見込みの者についても、
「人数A」の「研修修了者」に含めて差し支えないものとなっております。
(参考:こども家庭庁「処遇改善等加算に関するFAQ」https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/3a1576c7-071d-4325-8be8-edced6d12ee1/643d163f/20250609_policies_kokoseido_121.pdf

配分ルールについて
旧処遇改善等加算Ⅱでは、4万円を支給する副主任保育士等が1人以上いることが要件となっていましたが、一本化された処遇改善等加算では、一人4万円を超えない範囲で施設の判断により柔軟な配分が可能となっています。
また、上記の人数ABの数の研修修了者がいることを要件とし、
年度内に研修修了を予定している者であって、
副主任保育士、専門リーダー等に準ずる職位や職務命令を受けていることを
要件に配分対象とすることも可能です。
そのため、配分ルールについては、旧処遇改善等加算Ⅱよりも柔軟化されています。

処遇改善等加算一本化後も変わらないこと

キャリアパスとの連動という大原則
「キャリアアップ研修を修了し、園が定めた役職に就くことで、処遇が向上する」という、キャリアパスと処遇改善が連動する大原則は、一本化後の処遇改善等加算でも維持されています。
形だけのキャリアパスではなく、職員が自身の成長と将来像を描けるような、実効性のある仕組みの構築と運用が引き続き求められます。

職員への丁寧な説明
処遇改善等加算について、どのような基準で処遇が決まるのかを全職員に丁寧に説明する必要性はこれからも変わりません。透明性の高い制度運用が、職員の納得感を高め、加算の効果的な活用につながります。

今回は、旧処遇改善等加算IIと一本化後の区分③質の向上分に焦点を当ててお伝えしました。
制度の一本化を機に、ぜひ一度、園や法人での副主任・職務分野別リーダー等の役割やキャリアパス、賃金規程を再点検してみてはいかがでしょうか。

また、株式会社船井総合研究所では今回の処遇改善等加算の制度改正について、より深くご理解いただき、具体的な対策を立てていただくための研修を開催いたします。
今年は、制度を基礎から学びたい方向けの【制度解説編】、実績報告書作成等の実務に役立てたい方の【計算編】と2つに分けて、午前・午後で開催します。
制度理解のために両方にご参加いただくことをお勧めしておりますが、どちらか一方の参加でも問題ございません。下記より詳細をご確認いただき、是非法人運営にお役立ていただけますと幸いです。

処遇改善等加算一本化対策研修のご案内【制度解説編】


処遇改善等加算一本化対策研修【制度解説編】では、 新制度の全体像、変更点のポイント、そして今後の見通しについて、分かりやすく解説します。 「まずは制度を正確に理解したい」という経営者様におすすめです。

処遇改善等加算一本化対策研修のご案内【計算編】


処遇改善等加算一本化対策研修【計算編】では、一本化後の実績報告書の作成についてや、園内での具体的な職員への配分について、人勧分の報告など、実務に直結する内容を詳しく解説します。 「具体的な計算方法や書類作成について知りたい」という経営者様、事務担当者様におすすめです。

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