処遇改善等加算一本化で変わること・変わらないこと①

いつもコラムをお読みいただきありがとうございます。
株式会社船井総合研究所の吉田健人です。

令和7年度も2か月が終わり、運営についても落ち着いてきたタイミングでしょうか?

本コラムでは、数ある令和7年度からの制度変更の中でもひときわ複雑な処遇改善等加算の一本化についてお伝えいたします。

皆様もご存じの通り、これまで3つに分かれていた処遇改善等加算は、令和7年度より一本化しています。
令和7年度に入ってからも多くの法人より、「一本化によって何が変わったのか」「職員への支給は変わるのか」「今準備しておくことはあるか」といったお問い合わせを多く受けております。
そこで、処遇改善等加算の一本化について数回に分けて運用の変更点や注意点のポイントをお伝えいたします。

今回は、制度変更の大枠と、従来の処遇改善等加算との変更点(区分①②)について解説いたします。

制度の変更点(全体像)

制度変更の大枠は一本化という名前の示す通り、これまで「処遇改善等加算Ⅰ(基礎分・賃金改善要件分)」「処遇改善等加算Ⅱ」「処遇改善等加算Ⅲ」と加算の目的や支給対象者、要件がそれぞれ異なっていた3つの加算が新しい一つの加算制度にまとめられたことです。
一本化の目的としては、これまで複雑化していた制度を簡素化すること・わかりやすさを向上させること・事務負担を軽減すること、そして効果的な保育従事者の処遇改善を行うこととなっています。

制度変更による影響について

一本化によって、従来との変更点は多数あり、事業者にとって要件の緩和になるものもあれば、従来より厳しくなる要件も存在します。

一例をあげると、申請や報告様式については、これまでは「処遇改善等加算Ⅰ」「処遇改善等加算Ⅱ」「処遇改善等加算Ⅲ」それぞれ作成が必要だった実績報告書が一つにまとめられ、処遇改善等加算として報告することで事務手続きの効率化が期待されています。

また、各加算については一本化後区分①(基礎分)区分②(賃金改善分)区分③(質の向上分)の3つの区分に分かれ、区分ごとに配分のルールが異なります。
賃金改善の考え方や職員の配分ルールについても一部変更となるため、新しい制度に合わせて法人内でも配分方法の見直し等が必要になる場合があります。

一方で加算の名称や仕組みが変わってもその根底にある「保育士等の専門性を高め、労働環境を整備し、魅力ある職場づくりを通じて、保育の質を向上させる」という基本的な目的は変わりません。
そのため、加算額の職員への確実な支給や、職員への周知による透明性の確保、キャリアパスの整備については引き続き行っていく必要があります。

一本化によって変わる旧処遇改善等加算Ⅰ・処遇改善等加算Ⅲ

ここからは一本化によって変更となる制度についてお伝えします。
本日のコラムでは特に従来の処遇改善等加算Ⅰ・処遇改善等加算Ⅲの取り扱いについてお伝えします。

従来の処遇改善等加算Ⅰは、大きく基礎分と賃金改善分に分かれていました。
一本化後の処遇改善等加算では、基礎分が区分①(基礎分)となり、賃金改善要件分が区分②(賃金改善分)に盛り込まれます。
また、従来の処遇改善等加算Ⅲについても、処遇改善等加算Ⅰの賃金改善要件分とあわせて区分②(賃金改善分)となります。

一本化された後の処遇改善等加算の区分①(基礎分)は従来の処遇改善等加算Ⅰの基礎分と同様、職員の平均経験年数に応じて加算率が変動します。
その他の要件も従来の基礎分と近く、法定福利費を除いた金額を適切に昇給等に充当するための区分となります。

一本化された後の処遇改善等加算の区分②(賃金改善分)は法定福利費を除いた全額を確実に職員に支給する必要があります。
また、対象者は園で勤務するすべての職員(非常勤を含む)となり区分③(質の向上分)とあわせた金額の1/2以上を毎月支給する必要があります。

本コラムでは、処遇改善等加算の一本化による「変わること」「変わらないこと」の概要をお伝えしました。 経営者の皆様におかれましては、まずはこの大きな方向性を掴んでいただければと存じます。
次回は、従来の処遇改善等加算Ⅱと、一本化後の処遇改善等加算区分③(質の向上分)についてお伝えします。

今回の制度改正は、今後の園経営、そして職員の皆様の働きがいにも大きく関わる重要なテーマです。 引き続きコラムを通じた最新情報の収集を頂ければと思います。

また、株式会社船井総合研究所では今回の処遇改善等加算の制度改正について、より深くご理解いただき、具体的な対策を立てていただくための研修を開催いたします。
今年は、制度を基礎から学びたい方向けの【制度解説編】、実績報告書作成等の実務に役立てたい方の【計算編】と2つに分けて、午前・午後で開催します。
制度理解のために両方にご参加いただくことをお勧めしておりますが、どちらか一方の参加でも問題ございません。下記より詳細をご確認いただき、是非法人運営にお役立ていただけますと幸いです。

処遇改善等加算一本化対策研修のご案内【制度解説編】


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