保育士新卒採用を成功に導く!3つのステップと具体的な戦略とは
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いつも コラムをご覧いただきありがとうございます。
船井総合研究所 子育て支援部の児玉です。
さて、保育業界において「採用」、特に将来を担う「新卒保育士の採用」は、園の安定経営と保育の質の向上に不可欠な最重要テーマの一つです。しかしながら、「なかなか応募が集まらない」「内定を出しても辞退されてしまう」といったお悩みを抱える経営者様も少なくないのではないでしょうか。
そこで本日は、保育士の新卒採用を成功に導くための重要な「3つのステップ」と、それぞれのステップにおける具体的な取り組みについて解説させていただきます。
新卒採用を成功させるための3つのステップ
保育士の新卒採用は、大きく分けて以下の3つのステップで戦略的に進めていくことが重要です。
①集める(母集団形成):自園(法人)に興味を持ってくれる学生を一人でも多く集めること。
②育てる(誘導率向上):集まった学生の「この園(法人)で働きたい!」という気持ちを育むこと。
③フォローする(内定承諾率の向上):内定を出した学生が確実に入職してくれるよう、きめ細やかにフォローすること。
これらのステップを一つひとつ丁寧に進めることが、採用成功への近道となります。
ステップ① 集める(母集団形成)~「選べる」採用を実現するために~
新卒採用において、まずクリアすべき課題が「母集団形成」、つまり応募者の数を確保することです。「誰でも良いから採用したい」のではなく、「自園(法人)の理念に共感し、共に成長していける人材を採用したい」と考えるならば、一定数以上の母集団の中から「選べる」状況を作ることが不可欠です。
では、どのように母集団を形成していくのでしょうか。鍵となるのは「園の認知度の最大化」と「保育士養成学校との連携強化」です。
◆園の認知度の最大化
今の学生は、インターネットやSNSを駆使して情報収集を行います。どんなに魅力的な園であっても、インターネット上に何の情報もないと、そもそも候補にすらなり得ません。園の魅力を効果的に伝えるためには、これらのツールを積極的に活用することが不可欠です。
園の基本情報だけでなく、「保育方針」「職場の雰囲気」「先輩保育士の声」「キャリアアップ制度」「福利厚生」など、学生が知りたい情報を網羅した採用専用のホームページを開設したり、日々の保育の様子、行事の準備風景、職員のオフショットなど、園の「リアルな日常」を発信するInstagramを運用したりすることで、親近感と共感を醸成し、学生の興味関心を惹きつけましょう。
◆保育士養成学校との連携強化
特に、新年度がスタートするこの時期は、養成学校との関係構築において非常に重要なタイミングです。
まずは職員(特にその学校の卒業生がいればベスト)と共に、担当教授や就職課にご挨拶に伺いましょう。昨年度の実績報告や感謝を伝えると共に、今年度の求人状況や求める人物像、園の最新情報などを直接お伝えすることで、より深い理解と信頼関係を築くことができます。
また、養成学校が主催する就職説明会やガイダンスには積極的に参加しつつ、園独自のイベント(見学会や保育体験会等)についても 学校を通じて学生に案内してもらえると効果的です。
ステップ② 育てる(誘導率向上)~「ここで働きたい!」を引き出す~
母集団が集まったら、次は「ここで働きたい!」という学生の志望度を高めていく「育てる」フェーズです。いくら多くの学生を集めても、実際に選考に進んでくれなければ意味がありません。このステップで最も重要なのは、園の魅力を実体験してもらうことです。
◆実習期間を最大限に活用する
実習は、学生が最も長い時間、園の保育や雰囲気に触れることができる絶好の機会です。実習担当の保育士だけでなく、園長先生をはじめ、全ての職員が実習生を温かく迎え入れ、積極的にコミュニケーションを取る姿勢が大切です。実習生が保育の楽しさややりがいを感じられるよう、丁寧な指導を心がけましょう。
ただ見学させるだけでなく、できる範囲で保育に参加してもらい、成功体験を積ませることも重要です。一方で、過度なプレッシャーは逆効果です。実習日誌のフィードバックも丁寧に行い、成長を具体的に伝えましょう。
◆学生アルバイトの受け入れやイベントの開催
保育補助や行事の手伝いなどで学生アルバイトを受け入れることは、より日常に近い形で園の雰囲気や仕事内容を知ってもらう良い機会です。
また園見学会はもちろんのこと、先輩保育士との座談会、保育体験ワークショップ、園の給食試食会など、学生が気軽に参加でき、園の魅力を多角的に感じられるイベントを企画・開催するのもおすすめです。
ステップ③ フォローする(内定承諾率の向上)~内定から入職まで伴走する~
いよいよ最終ステップ、「フォロー」です。苦労して内定を出しても、学生が辞退してしまっては元も子もありません。特に最近は、複数の園から内定を得て、じっくり比較検討する学生が増えています。
内定を出した時の学生の「ここで働きたい!」という熱い気持ちを、入職の日まで維持し、さらに高めていくためのきめ細やかなフォローが求められます。
◆園行事への招待
運動会、発表会、クリスマス会など、園の大きな行事に内定者を招待し、先輩職員や子どもたちと触れ合う機会を提供しましょう。園の雰囲気や保育の実際を改めて体験することで、入職後のイメージがより具体的になります。
◆メンター制度の導入
年齢の近い先輩職員を「メンター(相談役)」として任命し、内定者が気軽に相談できる体制を整えるのも効果的です。入職前の準備物や心構え、些細な疑問や不安などを解消できる相手がいることは、内定者にとって大きな安心材料となります。定期的なランチ会やオンラインでの面談など、コミュニケーションの機会を設けることが大切です。
◆内定式の開催
内定式は、内定者にとって「正式に仲間として迎え入れられた」という実感を得られる大切なイベントです。他の内定者や先輩職員と顔を合わせることで、同期意識や連帯感が生まれます。園長先生から直接、期待の言葉を伝えることも、モチベーション向上に繋がります。
年間を通じた戦略的な新卒採用を
本日は、保育士の新卒採用を成功させるための3つのステップ、「集める」「育てる」「フォローする」について、具体的なアクションプランと共に解説させていただきました。
新卒採用は、一朝一夕に成果が出るものではありません。年間を通じて計画的かつ戦略的に取り組むことが、成功への最も確実な道筋です。
今回お伝えした内容は、新卒採用における基本的な考え方と具体的な手法の一部です。
「新卒採用に初めてチャレンジするが、何から手をつければ良いか分からない」
「これまでも取り組んできたが、なかなか思うような成果に繋がらない」
といったお悩みを抱えていらっしゃる経営者の皆様は、ぜひ一度、弊社にご相談ください。それぞれの園の状況や課題に合わせて、より具体的なアクションプランの策定や、採用活動全体の設計について、専門のコンサルタントが伴走しながらサポートさせていただきます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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