保育業界の時流5年予測と保育人財戦略を考える<採用編>
皆様
いつも保育園経営.com のコラムをご愛読いただきましてありがとうございます。
船井総合研究所 子育て支援部の菅野 瑛大(かんの あきひろ)です。
今回は前回のコラム「保育業界の時流5年予測と保育人財戦略を考える」の続きとして、
保育者採用に焦点を当てたコラムをお届けします。
保育業界の転換期と人財戦略の重要性
保育業界は大きな転換期を迎えており、少子化や政府の子ども・子育て支援政策により、従来のライフサイクルからの変化が求められています。
具体的には、待機児童対策から保育の質の向上へと重点がシフトしており、保育施設間の競争激化が予想されます。
令和7年度には予算が増額される一方で、配置状況、給与水準、事業収支といった重要指標の公開が必須化されます。
経営内容がより“見られる”ため、“魅せられる”内容へ転換する必要があるといえるでしょう。
今後は、これまで以上に透明性の高い情報開示と、それに基づいた戦略的な経営が求められるでしょう。
人財戦略の3つの基本要素
これからの時代にあった保育園経営を実現するためには、「採用」「定着」「育成」という3つの要素から構成される人財戦略を戦略的に展開していく必要があります。
これらの要素はそれぞれ独立しているのではなく、相互に連動し、影響し合うものとして捉え、人財戦略全体を最適化していくことが重要です。
1.採用
求職者募集、求職者対応、採用コンセプト設計、配置・採用計画など、採用活動全体を戦略的に設計する必要があります。
効果的な採用活動を行うためには、自法人の強みや特徴を明確にし、それを求職者に適切に伝えることが重要です。
また、多様な採用チャネルを活用し、より多くの求職者にアプローチすることも大切です。
2.定着
新人・中堅・ベテラン・管理職定着と、階層別に長く働き続けられる環境づくりが重要です。
職員が安心して長く働ける環境を整備することで、定着率の向上を図ることができます。
具体的には、ワークライフバランスの実現、キャリアアップ支援、良好な人間関係の構築などが挙げられます。
3.育成
新人・中堅・リーダー候補育成、リーダー・幹部育成、専門性強化など、職員の成長を支援する体制を構築する必要があります。
研修制度の充実やメンター制度の導入など、職員一人ひとりの能力開発を支援する仕組みを整えることが重要です。
また、評価制度を活用し、職員の成長を可視化することで、モチベーション向上につなげることもできます。
これらの要素を効果的に運用するためには、「仕組み」を導入し、それぞれの段階で目標設定、評価、改善を繰り返す必要があります。
保育士採用の構造を理解する
採用活動は、以下の4つの要素に分解して考えることが可能です。
1.伝える(母集団形成)
まずは求職者に知ってもらう必要があります。
そのためには、自法人の魅力を効果的に発信し、多くの求職者の目に触れる機会を増やすことが重要です。
2.育てる(誘導率向上)
知ってもらった求職者に、より深く接触してもらう。
施設見学や説明会などを実施し、職場の雰囲気や保育内容を実際に体験してもらうことで、入職意欲を高めることができます。
3.採用する(応募率向上)
接触した求職者に応募してもらう。
応募しやすい環境を整えるとともに、選考プロセスの透明性を高めることが重要です。
4.フォローする(入職率向上)
応募した求職者に実際入職してもらう。
内定後の懇親会や研修などを実施し、スムーズな入職をサポートすることが大切です。
もし母集団形成に課題があると感じたら、上記の各フェーズでの施策をしっかりと見直していく必要があります。
母集団形成に向けた動き
求人媒体は変遷しており、現在は情報があふれた時代であるため、
「どこでも出会える」SNSを効果的に活用し、多様な求職者にアプローチがより重要になってきています。
認知度向上のためには、市場カバー率の高い媒体への投資が重要です。
SNSを広告出稿先として捉え、WEB求人メディアと組み合わせて活用することで、より効果的な採用活動を展開できます。
SNS広告を活用することで、ターゲットを絞った効果的な情報発信が可能になります。
さらに、この効果を最大化するためには、「求める人物像」を明確にすることが重要です。
法人・園にとって必要な人財とはどのような人なのか?
マネジメント能力、資格、知識技術、法人理解などの要素を整理し、
法人が求める人物像(ニーズ)と求職者の想い(シーズ)を一致させましょう。
求める人物像を明確にすることで、採用基準が明確になり、ミスマッチを防ぐことができます。
面接は「営業交渉」の機会と捉える
面接は、単なる選考の場ではなく、法人と求職者が互いに魅力を伝え合う営業交渉の機会と捉えるべきです。
面接の流れにおいては、受付での印象、リラックスタイム、施設案内、質問、逆質問など、各ステップで求職者のニーズを把握し、自法人の魅力を伝えることが重要です。
求職者の個性や能力を見極めるとともに、自法人の理念やビジョンを共有することで、相互理解を深めることができます。
最後に、採用活動においては、求める人物像を明確にし、求職者とのニーズを一致させることが重要です。
人財戦略の「センターピン」は何か?


今回のコラムでは、保育業界における人財戦略の中でも「採用」に着目した整理を行いました。
特に法人として求める人物像を明確化することは、より良い人財確保のために欠かせません。
しかし、「求める人物像」を明確化すると言っても、具体的にどのように進めていけばよいのか、
それを評価制度にどのように落とし込んでいけばよいのか、悩ましい部分もあるのではないでしょうか。
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保育事業で“使える”評価制度構築についてお伝えさせていただきます。
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✓監査時に処遇改善分配の根拠として評価結果を明確に示せない
✓現場がやり切れる評価制度を構築したい
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③ 2025/02/28(金) 13:00~15:00
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・一般価格 10,000円 (税込 11,000円)/ 一名様
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