保育士等モデル給与公開義務化で差をつける!制度決定を待たずにできる準備をご紹介!
皆様
いつも保育園経営.com のコラムをご愛読いただきましてありがとうございます。
船井総合研究所 子育て支援部の菅野 瑛大(かんの あきひろ)です。
なぜ、今「見える化」が必要なのか?
今回は「保育所等における継続的な経営情報の見える化について」(こども家庭庁成育局保育政策課,2024年9月)の内容を解説していきます。
なぜ今、「見える化」が求められるのか?
令和4年12月の公的価格評価検討委員会での指摘を皮切りに、保育分野における公的資金の使途の透明性向上が喫緊の課題となりました。
国民の税金や保険料が、保育の現場で働く方々に適切に還元されているか、その実態を把握し、より良い保育環境を実現するために、「見える化」は不可欠な手段なのです。
医療・介護分野では既に経営情報の届出義務化とデータベース化が進んでおり、保育分野もこの流れに追随する必要があります。
本コラムでは、
✓スケジュールはどのようになっているか?
✓対象者は誰か?
✓報告し・公開される情報は何か?
✓何を準備すべきか?
を整理していきます。
早速、制度改正はいつから?自分たちには関係あるか?を整理していきます。
スケジュールと対象法人
この制度改正は、2025年4月1日に施行されます。
2024年4月1日以降に始まる事業年度の経営情報が報告対象となり、最初の報告期限は、事業年度終了後5か月以内なので多くの法人が2025年8月末です。
つまり、対象となる施設・事業者は、今から経営情報の整理を始める必要があります。
この制度の対象となるのは、子ども・子育て支援法に基づく施設型給付・地域型保育給付を受ける全ての施設・事業者です。
具体的には、以下の施設が該当します。
✓保育所
✓認定こども園
✓地域型保育事業(小規模保育、家庭的保育、居宅訪問型保育、事業所内保育)
一方、原則として経営情報の報告義務の対象外となるのは以下の通りです。
✓施設型給付を受けない幼稚園施設
✓公立施設
✓その他施設等利用給付を受ける施設
特別支援学校、預かり保育事業、認可外保育施設、病児保育事業、一時預かり事業
子育て援助活動支援事業(ファミリー・サポート・センター事業)
✓国立・公立大学法人立の認定こども園
ただし、個別の施設・事業者単位で公表される項目(モデル給与等)に限り、任意で報告を行うことができます。
報告内容や方法
具体的にどのような情報が「見える」ようになるのでしょうか?
今回の制度改正のポイントは以下の通りです
毎事業年度の経営情報(収支計算書、職員給与の状況など)の報告が義務付けられます。
報告された情報は都道府県知事により公表されます。
特に職員の処遇に関する情報(モデル賃金や人件費比率など)は、個別の施設・事業者単位で公表される予定です。
施設類型、経営主体、地域、定員規模などの属性に応じたグループでの集計・分析結果も公表されます。個別の施設・事業者単位での収支計算書等の公表は行いません。
これらの情報は、「ここdeサーチ」というシステムを通じて、効率的に収集・公表されるようになります。
では、具体的にどのような経営情報が報告・公表されるのか。以下の通りに整理しました。
✓人員配置 :公定価格基準上の配置人数と実際の配置人数、職員の属性情報
✓職員給与 :賃金水準、処遇改善状況、職員の属性情報
✓収支状況 :収入・支出の科目別の金額、人件費関連科目の内訳
✓モデル給与:保育士等の常勤職員の基本給、手当、賞与など、月収と年収の目安
✓人件費比率:総収入に占める人件費の割合(狭義と広義)
✓任意の事項:
人的資本に関する事項:休暇取得状況、ICT導入状況、研修制度、人材育成の取組等
が現時点では示されています。
これらの情報公開は、保護者にとって施設選択の重要な判断材料となりますし、
求職者にとっては、より働きやすい職場を見つけるための情報源となっていきます。
「とりあえず制度に対応して出せばよい」では、この公開された情報によって、
自分たちの法人が悪くみられるリスクが高まります。
つまり、すでに何を公開すべきかがわかっていますから、
今から正しく法人の魅力を正しく伝える準備をすべきです
今から変えられるもの
それでは、今からできる準備は何か?
もちろん、初年度の公表データは2024年度つまり今年度分をベースとするので今から何かを変えることは難しいです。
しかし、“これから”のモデル給与や働き方、成長できる環境等を知るための任意の事項については、
これから半年間の準備で十分公表まで間に合います。
例えば、
✓給与表(等級号棒表)が「ない」「最低賃金が連動していない」「実態に合っていない」
✓評価制度が「ない」「あるけど活用できていない」
✓研修制度はあるが「魅力的かどうかわからない」「場当たり的な研修参加になっている」
✓ICT導入をしているが「他も同じようなことをやっていて次に何をしたらいいか悩む」
といった、経営者・管理職の皆様がお悩みの部分をそのままクリアにしていってください。
その結果、公開された付加情報が他法人との差別化ポイントにつながり、競争優位性が高まります。
5年以上前倒しで進んでいる少子化に伴い園児の獲得競争が激化…
保育人財不足の中で高まる配置強化等に伴う継続した採用活動が必須…
周辺事業に取り組むにしても中核人財を育て、運営する人員が必要…
こうした直近数年の課題の一助に制度変化を活用して適応していくことが重要です。
制度変革へのセンターピンをとらえる


本コラムでは、来年度から施行される新たな制度の整理を行い、そのうえで、
変化を原動力に進むためのきっかけとなる課題をお伝えしました。
この内容をより詳細・具体的に手法を知りたい方へ、セミナーのご紹介です。
「24時間で構築!保育業界専用評価制度カンタン解説セミナー」では、保育事業で“使える”評価制度構築についてお伝えさせていただきます。
以下のケースにひとつでも当てはまる場合はご参加をオススメいたします。
✓監査時に処遇改善分配の根拠として評価結果を明確にお示しできないケース
✓現場がやり切れる評価制度を構築したいというケース
✓導入が比較的簡単で効果がある評価制度を検討しているケース
✓自分たちの求める人物像が明確化されていないケース
✓法人として保育の質向上の実現を目指しているケース
<開催日程>
全日オンライン(Zoom)開催
① 2025/02/25(火) 13:00~15:00
② 2025/02/26(水) 13:00~15:00
③ 2025/02/28(金) 13:00~15:00
④ 2025/03/03(月) 13:00~15:00
インターネットに接続できるPC・スマートフォン・タブレットがあればどこでも受講可能です!
<参加費用>
・一般価格 10,000円 (税込 11,000円)/ 一名様
・会員価格 8,000円 (税込 8,800円)/ 一名様