保育事務業務を30%削減・ノンコンタクトタイムの導入を実現した保育園の取り組み
- テーマ:
- 働き方改革
いつも コラムをご覧いただきありがとうございます。
船井総合研究所 子育て支援部の岩本です。
本コラムでは、働き方改革の中でも「業務改善」をテーマに、
保育の事務業務を2年間で30%削減やノンコンタクトタイムの導入を実現し、福岡県で働き方改革のモデル園にも選ばれた 社会福祉法人子育ての里福祉会 様に、その取り組みについて伺ってきましたので、その内容をお伝えいたします。
保育園の求められる役割・機能が年々増えていく中で、保育園・こども園の保育士の皆様の業務負担はますます増しております。そのような中で園の働き方改革、職員の業務負担軽減は業界全体で急務となっています。ぜひ参考にしてください!
以下取材レポートになります。
「保育園の働き方改革を行ったきっかけを教えてください」
2022年度当初、「園舎の建て替えを控えていること」「認定こども園に移行するかどうか検討中であること」「ここ数年、新任保育士が多く入ってきていること」など、園として、法人として大きな変革期にありました。
そこで職員の負担を少しでも減らせればと思い、働き方改革に興味を持っていました。
そんな状況の中、福岡県より「保育士が働き続けられる職場環境事業」の一環として、働き方改革に取り組む園を募集する案内を見て、独自ですすめていくことはとても困難だと思っていたこと、アドバイザーの方がいらっしゃること、その2点を理由に事業に申し込みをさせていただきました。
取り組みの結果を評価され、福岡県から働き方改革のモデル園に認定され、セミナーで講演をしたり、視察先にも選ばれたりしました。
「業務改善の取り組み内容を具体的に教えてください」
〇現状の確認
初めに園にどんな課題があるか調査することからスタートしました。アンケートによる調査を行ってもらい、業務状況の数値化・グラフ化をして園の課題を見える化しました。
結果として持ち帰り業務が発生していること、その要因として書類仕事や行事の制作物などがあることが分かったため、業務改善を行うことでその課題解決を図ることにしました。
〇働き方改革チームの結成・方針発表会の実施
まず初めに働き方改革チームを結成したうえで、職員全員に、園として働き方改革に挑戦することを周知ました。働き方改革においては職員全員が当事者意識を持って取り組む必要があるため、職員の皆様が同じ方呼応に向くためにこれらを実施しました。
〇改善事項の検討
方針発表を終えた後は、まずどんな業務が発生しているかを棚卸・整理し、1つ1つの業務について職員全員で改善事項を洗い出し、チームで具体的な改善方法を検討して改善につなげました。
〇具体的な改善事項(掲示物業務の省力化)
具体的な改善事項を一部ご紹介いたします。
当園では、保護者へ園の様子を伝えるために玄関に写真主体の掲示物を掲示していたのですが、年々装飾が豪華になり、作業時間が長くなっていました。
この掲示物業務の時間削減ができないかチーム中心に検討していたところ、この掲示物の目的は、保護者に園の様子を伝えることが目的であるという点に着目し、写真主体の掲示物で十分保護者に園の様子を伝えられると考えたため、過度な装飾をなくし、シンプルな掲示物へ変更しました。
しばらくはこの状態で運用していましたが、保育システム「コドモン」の機能にある保育ドキュメンテーションを使用してから、この機能を使って作成した画面を印刷することで、そのまま掲示物にできるのではないかという意見が職員から挙がり、さらなる改善として、玄関の掲示物を保育ドキュメンテーションに変更しました。
最終的には、玄関の掲示物作成にあたり、ほぼ印刷・掲示の作業しか行わなくなったため、大幅な業務改善につなげることができました。
〇具体的な改善事項(ノンコンタクトタイムの実施)
当園では、保育の時間から離れて事務作業をする、いわゆるノンコンタクトタイムを導入できないか検討していました。
特に毎日記入する日誌(保育ドキュメンテーション)を書く時間を作れないかと意見が上がり、居残り保育の開始時間を少し早め、配置人数に余剰を生み出すことで、ノンコンタクトタイムの確保に成功しました。日誌の記入は居残り保育を行っていない空いたクラスを活用しています。
居残り保育の時間を早めての導入であったため、基本的にはノンコンタクトタイムが取れないという事態は起こらず、安定して毎日ノンコンタクトタイムの時間を確保しています。
完全に保育から離れて記入ができるようになったため、職員の皆さんから集中して日誌を作れるようになったと好評です。
「取り組みの成果を教えてください」
業務改善の取り組みを通して、先ほどご紹介したように、ノンコンタクトタイムの実現はもちろん、
業務時間30%の削減を実現することができました。
一方で、まだまだ当園も業務改善をやり切ったとは思っておりません。
今後もこの取り組みは継続していき、よりよい園づくりを目指していきたいと思っています。
まとめ
取材レポートはいかがだったでしょうか。
ご参考になる点も多かったと思います。
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皆様の園で業務改善を具体的に行うポイントついて、弊社よりお伝えできればと思っております。
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第2講座:驚きの事務業務時間30%削減!社会福祉法人子育ての里福祉会の成功事例から学ぶ
第3講座:成功事例に学ぶ!保育園の業務改善の実践ポイント
第4講座:明日から実践すること