園を未来に「遺す」ために今考えるべきこと

2024年7月11日配信

テーマ:
事業承継・M&A

いつもお読みいただきありがとうございます。
株式会社船井総合研究所の永田屋でございます。

本日は園の運営を継続的に行っていくために、今から考えていきたい「園の引継ぎ方」についてお伝えしたいと思います。

お読みいただいている方の年齢や法人の状況によりタイミングは異なるかと存じますが、遅かれ早かれいつかは自身の引退と次世代への引継ぎが発生してきます。少子化が進む現代社会において、特にこの子育て業界において経営の困難さやリスクが一層高まっていることは、周知の事実かと存じます。経営者自身が高齢化しリタイアすることを見据えたとき、その後の継続的な園運営の実現を可能にし、園をしっかりと未来に遺すためは、今からの準備や計画作りが非常に重要になります。

なぜ今引継ぎが求められるのか

まず、日本全体で少子化が加速しており、年々子どもの数が減少しているという事実は、ご周知のとおりです。先日発表された合計特殊出生率は前年から0.06ポイント下がり1.20と過去最低となり、出生数も前年比4万人超減の72万人台と過去最少を記録しました。10年前、「待機児童問題」が大きな社会問題となっていた地域でも、近年は待機児童が解消され、園に空きが出てきたという現象に直面しているエリアもあることかと存じます。

近年、新型コロナウイルスの影響も一定程度ありましたが、それが落ち着き利用者数の減少が目立つ今、定員を変更する園が見受けられます。こども家庭庁が毎年発表する「保育所等関連情報取りまとめ」の数値でも、特に0歳児の利用児童数が顕著に減少していることを示しています。この背景には、少子化の影響だけでなく、育休が取りやすい環境が整いつつあることも一因と考えられます。

こうした状況下、これからの園運営について検討されている経営者の方も多いのではないでしょうか。保育園は地域にとって必要不可欠な施設であり、急に閉園といった事態になってしまうと、そこに通う子どもたちや保護者に多大な影響を与えてしまいます。そのため、計画的な「引継ぎ準備」が求められるのです。「園の今後の計画」がなければ、万が一の事態に対応できず、継続的な園運営が難しくなってしまいます。

園を未来にしっかりと遺すために今から準備を始めることが大切です。地域にとって求められる施設としての「園」を残していくために、どのような手段があり、それぞれのメリット・デメリットを事前に理解したうえで、計画策定を進めていただければと思います。

引継ぎの選択肢

それでは、具体的に考えうる引継ぎの方法についてご紹介いたします。大きく分けて、親族内継承、親族外継承、譲渡・合併・M&A、譲渡・合併・M&A相手探しの4つの選択肢があります。

【親族内継承】
最も一般的な引継ぎ方法で、親族内で園の経営を引き継ぐ形です。職員や関係者からの理解が得やすく、後継者育成に十分な時間をかけることができます。ただし、後継者が必ずしも資質や意思を持っているわけではなく、また親族が複数名いる場合は組織体制の検討が必要です。

【親族外継承】
園で現在活躍している職員に経営を引き継ぐ方法です。法人や園の事情をよく理解しているため、職員からの理解も得やすいです。しかし、財産整理などの煩雑な工程が発生するため、慎重に進める必要があります。

【譲渡・合併・M&A】
既に引継ぎ相手を決めている場合に適用される方法です。特に昔から付き合いのある園に対する譲渡や合併、M&Aが多いですが、財産関係などでトラブルが発生しやすいため、事前に条件をしっかりと決めておくことが重要です。

【譲渡・合併・M&A相手探し】
近年急増している方法で、法人格によっては譲渡益を得ることができ、適任の後継者がいない場合も外部から連れてくることが可能です。しかし、現職員や関係者への説明が必要で、スムーズに引き継ぐための手順が煩雑になる場合が多いです。

以上のように、引継ぎには複数の選択肢があり、一つ一つの方法にはそれぞれメリットとデメリットがあります。皆様の法人の状況や、経営者自身の意向も踏まえつつ、今後も地域に求められる施設として園を未来に遺すために、ぜひ今から計画策定に取り組んでいただければと思います。

今から考える「園」の引継ぎ 保育事業者向け事業承継セミナー


本日は園を未来に遺すために今から考えておきたいポイントについてお伝えをいたしました。

船井総研では、2024年8月6日に、保育事業の事業承継についてセミナーを開催いたします。今日の内容に興味・関心がある方は、ぜひ内容をご確認いただき、具体的な準備にお役立ていただけますと幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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