園の引継ぎについて

2024年7月8日配信

テーマ:
時流・業界動向 事業承継・M&A

いつもコラムをお読みいただきありがとうございます。船井総研の堀内です。

今日は、園の引継ぎについてお話ししたいと思います。というのも最近、当社にもこのようなご相談が増えてきているからです。

皆さんの園にも「M&Aをしませんか?」というダイレクトメールが頻繁に届いているのではないでしょうか。しかし、今回お伝えしたいのはM&Aに限らず、広く「園の引継ぎ」に関する内容です。

経営者にとって、自分のポジションを譲ることは難しい決断です。
しかし、園は地域にとって必要不可欠な施設です。

先日、ある自治体の担当者が「○○園の理事長先生が高齢ですが、引継ぎの話を聞かないので心配です」と話していました。
万が一の事態が発生すると、地域の保育ニーズが満たされず、働く保護者や通園する子どもたちにも影響が出てしまいます。
また、急な代表交代に伴う引継ぎ問題も避けられません。

ただ、この決断を下せるのは「経営者」だけです。
園の職員や自治体の担当者は、「引継ぎに向けて準備されていますか?」と直接尋ねることはできません。

そのため、今すぐ引継ぎが必要な人も、今すぐ引継ぎが必要でない人も、どのような引継ぎ方があるのかを知り、可能であれば引継ぎの計画を立てておくことが重要です。

まず、引継ぎの方法を知る必要があります。引継ぎ方は大きく4つのパターンに分けられます。

1. 親族内承継
最も一般的な方法の一つで、職員や関係者からの理解が得られやすく、後継者育成に十分な時間をかけることができます。しかし、後継者が事業を引き継ぐ意思や資質があるとは限りません。また、引継ぐ親族が1名なのか複数名なのかによって、組織体制の検討が必要です。さらに、後継者が園内でのポジションを築くための準備や計画も必要です。

2. 親族外承継
法人内で活躍している職員に園の経営を任せる方法です。

法人や園のことを理解している後継者を選定でき、職員からの理解も得られやすいです。ただし、財産整理などの煩雑な工程が発生するため、慎重に進める必要があります。また、後継者に「園の経営」に関する知識をつける機会も提供する必要があります。

3. 譲渡・合併・M&A
引継ぐ相手をすでに決めている場合、譲渡や合併、M&Aを行うことがあります。しかし、財産関係でトラブルが発生し、関係性に亀裂が入ることもあります。条件面を事前にしっかり決めて進める必要があります。

4. 譲渡・合併・M&A相手探し
近年急増している方法です。法人格によっては譲渡益を得ることもでき、適任の後継者がいなくても外部から連れてくることが可能です。ただし、職員や関係者への説明が必要で、スムーズに引継ぐための手順が煩雑になることがあります。また、法人格によっては取引価値がない場合もあります。経営者ご自身のリタイア後の生活を考えると、拙速な形にならないようにすることが重要です。

以上のように、引継ぎの方法はさまざまです。各園や置かれている状況によって適切な方法は異なります。今すぐではなくても、一度「引継ぎ方」に関する知識を得て、計画を策定しておくことが重要です。

あまり考えたくない方も多い一方で、地域に求められる園であり続けるためにもぜひ一考いただけるといいかと思います。

堀内

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