「課題職員」を是正し、未来の主任・園長を育てるための人事制度とは

2025年11月10日配信

テーマ:
時流・業界動向 採用・育成 処遇改善等加算

いつも コラムをご覧いただきありがとうございます。
船井総合研究所 子育て支援部の児玉です。

「非協力的で他の職員が離職する原因にさえなる『課題職員』の処遇に悩む」
「一生懸命な職員を正当に評価する方法がなく、離職してしまう」
「評価制度はあるが形骸化しており、職員の成長に繋がっていない」

保育園や幼稚園、認定こども園を経営される理事長・園長先生から、このような「人」に関する切実なお悩みを伺うことが急増しています。

こうした事態は、現場の士気を著しく低下させるだけでなく、法人の持続的成長そのものを脅かします。多くの法人では、この問題を解決するために人事評価制度を導入・改定しますが、残念ながら「制度を導入しただけ」では、この問題は決して解決しません。

なぜなら、多くの評価制度が、組織が達成すべき「2つの正しい目的」のうち、どちらか一方、あるいは両方を見失っているからです。

人事評価制度が達成すべき「2つの正しい目的」

組織が持続的に成長していく上で、人事評価制度が達成すべき目的は、突き詰めると次の2点に集約されます。

① 管理者の発掘・輩出(未来の組織づくり)
‥次の園長、主任、リーダー候補を発掘し、育て上げるための仕組み

② 課題職員の是正(=現在の組織づくり)
‥真面目に働く職員のモチベーション低下を防ぎ、組織の秩序を守るための仕組み

貴園の制度は、この2つを明確に意図して設計・運用されているでしょうか。 「全員一律」の評価制度や、「処遇改善加算の対応のため」だけに作られた制度では、この2つの目的を両立させることはできません。

【解決策①】「課題職員」を是正する「守り」の仕組み

まず、組織の秩序を安定させる「守り」の仕組みとして、「課題職員の是正」機能が必要です。

多くの園では、「現場でコツコツ貢献し続けたい職員」と「管理職を目指したい職員」を同じ物差しで評価しようとして失敗します 。

「現場で貢献し続けたい職員」に対して求めるべきは、高度な成長意欲よりも、まず「組織人としての最低限の品質」です 。

・法人や施設のルールを守る
・周りの職員に迷惑をかけない
・上司の指示を聞く

これらを実現するため、評価項目には「出勤率」「提出物の提出率」「ルール遵守」といった、誰もが客観的に判断できる定量(数値)項目を組み込むと効果的です。これにより、評価者は主観や感情に流されることなく、課題職員に対して「NO」を突きつけ、具体的な是正を促すことが可能になります。

【解決策②】「未来のリーダー」を育てる「攻め」の仕組み

次に、意欲ある職員を惹きつけ、育てる「攻め」の仕組みが必要です。

①目指す「キャリアの道筋」を明確にする
「管理職を目指したい職員」には、明確なキャリアの道筋が必要です。例えば、等級制度を設計し、「3等級:新人育成(OJT)担当ができる」「4等級:園長・主任不在時も当日の現場責任者ができる」といった具体的な実務と等級を連動させます。
同時に、管理職の年収を一般職員の約1.5倍に設定するなど、等級が上がることの魅力的な給与条件を明示することが、「目指したい」という健全な動機付け(モチベーション)を生み出します。

②経営視点を引き上げる「理事長塾」
人事評価制度という「守り」の土台だけでは、残念ながら人は動きません。
特に、現場リーダー(4等級・職務分野別リーダー等)から管理職(5等級・副主任/専門リーダー等)へのステップは、求められる視座が大きく異なり、多くの候補者が壁にぶつかります 。

そこで不可欠となるのが、管理者候補を対象とした「管理職カンファレンス(理事長塾・園長塾)」です。

この場では、代表自らが法人の経営方針や最新の取り組みを共有し、彼らの視座を現場レベルから経営レベルへと引き上げます 。法人の課題を「自分ごと」として捉える当事者意識を育むことが、昇格への意欲を力強く後押しするのです。

「守り」と「攻め」の人事戦略で、「選ばれる園」へ

真に機能する人事戦略とは、「評価制度」という土台(守り)を固めた上で、職員の心を掴み、組織を活性化させる「攻め」の施策を両輪で回していくことに他なりません。

「経営方針発表会」で法人のビジョンを共有し、 「表彰制度」で金銭以外の「承認」を伝え、「人事会議」で評価者の目を鍛え、逸材を発掘する。こうした地道で、能動的な働きかけこそが
、職員のエンゲージメントを高め、持続的な成長を遂げる組織の鍵となります。

「自園の人事評価制度を根本から見直したい」
「管理者育成と課題職員の是正を、仕組みで解決したい」
「職員のエンゲージメントを高め、持続的に成長できる組織を作りたい」

このような経営課題を抱える理事長・園長先生のために、私たちのノウハウの全てをお伝えするセミナーをご用意しました。

【理事長先生向け】介護・障がい・保育 経営課題を解決する人事評価制度セミナーのご案内

本セミナーでは、コラムではお伝えしきれなかった、人事評価制度の設計から運用までの具体的な手法、そして職員のエンゲージメントを高めるための「攻め」の人事戦略について、保育・障がい・介護で多くの法人のコンサルティング実績を持つ専門家が詳しく解説します。

<このようなお悩みを抱える法人様におすすめ>
・「優秀な職員」の離職に歯止めをかけたい。
・他の職員の離職原因とさえなる「課題職員」を何とかしたい。
・管理者/施設長が不足していて、兼任職員が疲弊している。
・将来の法人を担う、事業を横断して活躍できる管理職候補を育てたい。
・既存事業の評価制度を、無理やり他の事業に当てはめている。
・事業間の評価制度や賃金制度に不公平感・不平等感がある。
・公平な評価基準がなく、結局どんぶり勘定になっている。
・処遇改善加算のキャリアパス要件の対応に悩んでいる。
・処遇改善加算のために評価制度を導入したが、形骸化している。

【開催概要】
開催日時: 11月28日(金) 13:00~16:00
開催形式:オンライン

【参加料金】
一般価格 30,000 円 (税込 33,000 円)/ 一名様
会員価格 24,000 円 (税込 26,400 円)/ 一名様

介護・障がい・保育 経営課題を解決する人事評価制度セミナー




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