今回は施設型給付幼稚園(以下、新制度幼稚園)、認定こども園の運営に欠かせない公定価格について解説いたします。
公定価格の定義
公定価格を検索エンジンで調べると以下のような定義が出てきます。
公定価格(こうていかかく)とは、政府が物価の統制のために指定した物品の最高販売価格のこと。
言葉の定義は上記の通りのようですが、新制度幼稚園、認定こども園で意味する公定価格は以下のようになっています。
公定価格=施設型給付費+市町村が所得に応じて設定した利用者負担額*
*1・2号認定児は無償化のため、0円/月
出典:公定価格の収入見込みと現行収入との比較試算方法チェックポイント
https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/faq/pdf/jigyousya/point.pdf
そのため、園を運営するために必要な運営費補助金が公定価格という事ですね。
収入の約7割を占める公定価格
どのような事業をするにしても収入を最大化することは非常に重要です。幼稚園経営、認定こども園経営においても例外ではありません。
そのためには園児数を利用定員いっぱいに集める園児募集は当然ながら欠かせません。
しかし、0~3歳児の人口が減少する中で充足率を100%以上に保ち続けることは難しくなってきています。
したがって、収入のおよそ7割を占める公定価格の仕組みを抑えて収入を最大化することは非常に重要です。
それでは公定価格の中身を細かく見ていきましょう。
公定価格を細かく見ると以下のように分かれていることがわかります。
・基本分単価
・処遇改善等加算
・加算
基本分単価は年齢別に定められている単価となっており、地域区分・利用定員によって定められています。
処遇改善等加算は更に細かく分かれており、Ⅰ,Ⅱ,Ⅲと種類が分かれております。
本コラムの特性上、本文からそれる部分があるため割愛させていただきますが、詳細が気になる方は以下をご覧ください。
【最新版】保育所等の処遇改善等加算Ⅰのキホンを解説
https://hoiku-kodomoen.funaisoken.co.jp/category-kindergarten-post-9115/
【最新版】保育所等の処遇改善等加算Ⅱのキホンを解説
https://hoiku-kodomoen.funaisoken.co.jp/category-nursery-post-9164/
【最新版】保育所等の処遇改善等加算Ⅲのキホンを解説
https://hoiku-kodomoen.funaisoken.co.jp/category-nursery-post-9195/
さて、収入を最大化するときに特に重要になってくるのは、
・正しい利用定員の設定
・加算の取得
です。
園児数に合わせた正しい利用定員で約2,000万円の収支改善!?
まず初めに正しい利用定員について解説を進めていきます。
利用定員による収入の違いを見るために1つ例を出します。
【与件】
・利用定員
1号:60名、2号:20名
・園児数
1号:45名、2号:9名(各学年均等に在籍しているものとする)
・地域区分
6/100地域
・教職員数
加算を十分に取得することが出来る人数
・平均勤続年数
11年以上
上記のパターンにおいて収入がどの程度異なってくるかを見ていきます。
まず現状の利用定における年間の収入は、56,284,830円/年となります。
ただ利用定員を見直すと、1号:45名、2号:10名とすることが出来る為、利用定員を修正した形で運営費を計算すると、77,842,710円/年となり、約2,000万円収入が増える計算となります。
新制度がスタートしてからすぐに公定価格を活用した運営形態に変わった園では、移行当初の利用定員のまま運営している園も少なくないのではないでしょうか。
自園の利用定員が在園児数に対して適切な人数設定となっているかどうかを今一度お確かめください。
なお、定員区分につきましては以下ページ内の各運営施設の単価表をご確認ください
内閣府:子育て支援事業者の方向け情報
https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/jigyousya.html
次に加算の取得についてご説明いたします。
加算の取捨選択
次に加算の取得についてご説明いたします。
加算は、3歳児配置改善加算や満3歳児対応加配加算、講師配置加算やチーム保育加配加算等様々な加算がございます。
また、今後新たな加算として(仮称)4歳以上児配置改善加算(4歳以上児を25:1で保育)、(仮称)1,2歳児配置改善加算(1,2歳児を4:1や5:1で保育)等の話題も上がってきています。
これらの加算をすべて取ることがもちろん理想的ですが、教職員の配置状況に応じてすべての加算を取得することが出来ず、一部の加算について取捨選択する必要が出てきます。
そのため、各加算の仕組みや取得した際の金額をある程度把握しなければいけません。
ただ、1つ1つを理解して加算の取捨選択を行うことは時間がかかるため、簡易的に以下のように加算取得の判断をしていただくことが望ましいです。
3歳児配置改善加算≒3歳児対応加配加算>学級編成調整加配加算≒チーム保育加配加算1名分
以上でございます。
大まかには上記のようにご判断いただければ、加算の選択は問題ございません。
まとめ
公定価格とは?という素朴な疑問解消の一助となれば幸いです。
公定価格は私学助成と比較すると、全国一律で制度が整えられているため、複雑ではありますが制度ははっきりしています。
各加算の詳細につきましては、子ども家庭庁の留意事項よりご確認ください。
出典:子ども家庭庁 特定教育・保育等に要する費用の額の算定に関する基準等の実施上の留意事項について
https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/3a1576c7-071d-4325-8be8-edced6d12ee1/e2091aa3/20230401_policies_kokoseido_02.pdf