【最新事例】こども誰でも通園制度―東京都―

2023年7月14日配信

テーマ:
時流・業界動向

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認定こども園・幼稚園業界 時流予測レポート2024 ~今後の見通し・業界動向・トレンド~

 

自治体独自のこども誰でも通園制度

さて、先日こども誰でも通園制度に関する全国の動きについて現況を解説させていただきました。
この制度は国が主体となり、全国の自治体が手を上げて実施しているものです。
しかし、自治体によっては独自に制度設計を行い、こども誰でも通園制度のような制度を構築し実施している自治体もございます。
その中で今回は東京都の事例についてご紹介させていただきます。

東京都版こども誰でも通園制度

東京都ではこども誰でも通園制度ではなく、「多様な他者との関わりの機会の創出事業」という名前で運用される予定です。
概要は以下の通りです。

多様な他者との関わりの機会の創出事業

対象年齢は0~2歳児までとなっており、実施場所は『幼稚園・認可保育所・認定こども園・認証保育所・小規模保育事業・事業所内保育事業等の多様な場所』となっており、子どもをお預かりすることが出来る施設であれば比較的どこでも対象となります。

気になる補助内容ですが、運営費として1施設当たり年間7,844千円が支給されます。これまでの一時預かりや幼稚園型Ⅱの預かりでは専任者を配置したとしても利用状況が少ない場合に、人件費分を補助金で賄うことが出来なかったことを考えると今回の補助金は人件費分をカバーすることができるため、そのような意味での参入障壁は低いですね。
また、その他にも開設準備費ととして4,000千円/年の補助を受けることが可能だったり、要支援家庭等対応強化加算として1施設あたり年間742千円が支給されたりと、上記以外にも追加で受け取ることが出来る補助メニューもあります。

本事業のもともとの構想としては、新たに事業を開始するのではなく、既存施設の定員が空いたことにより手が空いた職員の雇用維持×子育てに悩みを抱える保護者支援が目的だったため、新規に雇用することはあまり想定されていないことが考えられます。

また、預かりの頻度ですが

保育所等において一定程度継続的(月を単位として複数月)に預かりを実施する。
参考:多様な他者との関わりの機会の創出事業実施要綱

とあるため、拡大解釈すると月1回~週5日までの預かりすべてが対象となるようですね。
こども誰でも通園制度だと、毎日利用ではなくあくまでも定期的な利用として週1回、2回の利用を対象としていている事から考えると、東京都の「多様な他者との関わりの機会の創出事業」は事業者にとっても利用者にとっても柔軟に対応することが出来る制度設計になっています。

最後に預かり時間についてです。
預かり時間は1日8時間、月160時間が限度となるようです。
今の保育短時間程度ということですね。
ただ上記以外の時間帯の預かりを禁止するものではなく、275円/時間を上限に追加でお預かりをすることは可能です。
ただ、8時間預からなければならないというわけではないため、この辺りは園ごとのルール設定が求められるため、準備が必要です。

まとめ

以上が「多様な他者との関わりの機会の創出事業」の概要となります。
幼稚園・認定こども園を運営する事業者から見ると未就園児教室の延長線上にあるため、補助金を活用しながら園児募集を行うことが出来るため、園としては非常に助かる制度となっています。
ただ、現場を見ると毎日来ない子どもがかわるがわる園に来られると、毎日来る子どもが園に慣れることに時間がかかったり、当園日数が少ない子どもの特徴を知ることに時間がかかりケガや事故のリスクが高くなったりと課題も多くあることも事実です。
上記を経営陣と現場で話し合いながら導入に向けて検討していただけますと幸いです。
 
 

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