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さて、今回は保育の事由に問わず定期的に保育所等に通うことが出来る「こども誰でも通園制度」の現状について解説いたします。
こども誰でも通園制度の背景
本制度の背景は、人口減少による保育所等の経営悪化と保育所や幼稚園に通っていない家庭のサポートの両輪により制度構築に向けてスタートしたものです。
実際に各市町村で実施されるのは少し先になる見込みですが、実施に向けて31自治体でモデル事業として試験的に運用がスタートしています。
実施している自治体は以下の通りです。
利用時間と料金体系について
上記自治体の内弊社にて調査した範囲では以下の自治体において詳細が公表されていました。
宮城県仙台市
東京都文京区
愛知県大府市
大阪府高槻市
預かり時間等の詳細については以下の通りです。
出典
仙台市ホームページ
文京区ホームページ
大府市ホームページ
高槻市ホームページ
預かり時間は概ね保育短時間認定程度の預かり時間が多く、金額はばらつきがありそうです。共通点としては1日当たりの定員は多くなく、多くても6名程度となっています。特に文京区ではニュースでもあったように、申込の数が多くキャンセル待ちとなっていることから、ニーズが高いことがわかります。
しかし、本事業はいわゆる一般型の一時預かり保育であり、従来の事業者別の実施状況からみるとそこまで多くの事業所で実施していないことから、多くの園で実施することは難しいのではないかと思われます。
本事業の課題は大きく2点となっており、①補助金が多くない、②担当者の選定です。
補助金はいくらなのか?
事業を実施するにも担当者を置き、その分の人件費が補助金と利用者負担額で賄えるのかという点が肝になります。
これまでの一時預かりの傾向としては、担当者や部屋を用意しても利用者が少なく、実際に利用者がいたとしても補助金が少なく赤字になるということが多く、積極的に一時預かり保育事業を実施する事業者は少なかったのではないかと思われます。
本制度は1名預かるといくら補助金として入ってくるのかによっては、参入の余地があり1号認定児の募集活動にプラスに働くものと思われます。
担当者の選定
延長保育事業や幼稚園型預かり保育事業等いずれの事業においても担当者を選定する必要があります。
冒頭でもお話したように人口減に伴って園児数が減少している園においては、これまでの必要職員数と比較すると人員に余裕が生まれてきます。(あくまで理論上の話ですが…)
そのため、公定価格上賄うことが出来ない人員を雇い続けるのであれば、本事業を活用して収入を増加させることで、人件費を一定程度賄うことができます。
また、このように人の手が空いていない場合においても、補助金の金額に応じては新たに職員を採用して本事業に参入することも考えられます。
まとめ
以上がこども誰でも通園制度の現状です。
申込状況等は東京都文京区のものしかわかりませんが、その他の自治体においても多少の違いはあれど、申込数が多いことが見込まれます。
これから園を探す保護者にとっては注目度が高い事業となるため、認定こども園・幼稚園経営を考える上で注目していきたい内容ですね。
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