職員の成長と業務効率化を促すPDCAサイクルと課題解決の思考法Vol.1
皆様
いつも保育園経営.com のコラムをご愛読いただきましてありがとうございます。
船井総合研究所の菅野 瑛大(かんの あきひろ)です。
今回は1年の振り返りと来年度の準備をするにあたって活用できる、
職員の成長を促すPDCAサイクルと課題解決の思考法を2回シリーズでお伝えいたします。
第一弾は、PDCAサイクルを有効に回す方法を新たな視点との組み合わせで
解説していきます。
PDCAサイクルができない現場
「なぜ同じことが」「前にもこれあったよね」
「対策したのはわかるけど、全然よくなっていないけど・・・」
などなど。日々の業務の中で「あれ?」と思うことが多少発生するのではないでしょうか?
一方で、現場職員の皆様がしっかりと取り組みをしてくれていることも、
経営陣の皆様は感じておられることでしょう。
一生懸命に取り組んでくれているのはわかっているが、
なぜかはまってこない、あと一歩足りない、抜け漏れがある。
これには理由があります。問題・課題発生時に対処療法的になってしまうことです。
もちろん、安全にかかわることや保育の流れを止めないようにするために、
即時処理を進めていただくという意識は非常に重要です。
しかし、即時処理をするがゆえに、“肌感”での対応になってしまい、
整理整頓しながら、体系的に考えることが不足することがあります。
考えるコスパ×タイパを上げるためのフレームワーク
ここでのポイントは「体系的に考える」という点です。
保育業務を行う上ではあまりビスネスシーンで使われるようなフレームワークを活用することはあまりないかもしれません。
その為、保育園経営者の皆様は振り返りと再計画時にぱっと思い浮かぶようなPDCAサイクルすらも、実は知りません、といった場面がよくみられます。
上述した対処療法的になってしまう、経営陣との視点に差がうまれる理由がまさにこれなのです。
何度も説明してはいるが、覚えてもらえない、理解してもらえないというお声もよく聞きます。
様々な業務を進める基本になるPDCAサイクルにおいては、保育士をはじめとした職員の皆様に、
腹落ちしてもらえるポイントがあります。
それは、
保育に置き換えて考えてもらうことです。
保育の基本的な流れは、
1.計画をたてて(Plan-計画)
2.実践して(Do-実行)
3.振り返りをして(Check-評価)
4.再計画をする(Action-改善)
です。実はPDCAサイクルを毎日行っていることが分かります。
このように具体例を身近な例に置き換えてお伝えいただくことで、
伝わるようになっていきます。
各サイクルをどのように具体的に進めるか?
PDCAサイクルをご理解いただけたら、もう一つだけフレームワークをお伝えいただくことで、推進力が得られます。
PDCAの流れはわかったものの、結局どうすればよいの?ということはわかりにくいです。
そこで、OODAサイクルという考え方があります。
これは、
Observe(観察・みる)
Orient(状況判断・わかる)
Decide(意思決定・きめる)
Act(実行・うごく)
の頭文字をとったものです。
各項目に対して、OODAをしていくことによりPDCAサイクルの精度が高まります。
少し具体的に書くと、
Observe(観察・みる) ・・・・>調査し、問題とその理由の特定を行う
Orient(状況判断・わかる) ・・>分析・考察し、対策案を複数あげる
Decide(意思決定・きめる)・・>調整し、決定する
※内容に応じて独裁的決定にならないように“調整”が重要
Act(実行・うごく) ・・・・・>PDCAサイクルの次のステップに進む
となります。
チェックバックの削減は互いのストレス軽減につながる
こうしたフレームワークを使うことは、慣れない人にとっては頭も時間も使ってしまう為、はじめは大変なこともあります。
しかし、これがなぜ業務効率化に繋がるのか。
それは、互いのストレス軽減になるからです。
業務を進めていく中で、準備→チェック→指摘→修正→・・・が繰り返されることが、
そして、やってもやっても終わりが見えないことが、経営陣の皆様にとっても、現場の皆様にとってもストレスです。
フレームワークを活用することで、目線を合わせたり、最低限考えるべき要素がルール化されるため、すれ違うことが格段に減ります。
加えて、こうしたツールを使うことによってはじめは時間がかかりますが、こうした思考法が習慣化されると、
これらを用いた業務の時間は格段に短縮されます。
それだけではなく、普段の一つひとつの仕事に対しても、体系的にとらえて考えることができる力が自然と身についていきます。
結果として、業務のレベルアップ、品質向上、マネジメント力アップ等に繋がっていきます。
少し縁遠いようなビジョンフレームワークは、園業務においてたくさん活用できます。
ぜひご活用いただければと思います。
思考法を伝えて、理解してもらい、活用してもらう
最後に、ここで重要なのは「フレームワークを覚えてらうことが目的ではない」ということをお伝えします。
フレームワークを活用していくと「○○もしらないの?思えてないの?」となりがちですが、これは間違いです。
フレームワークが重要なのは「名前」ではなく「その思考法を使えているか」です。
ぜひ導入する際には、目的と手段を間違いないように注意をしてください。
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