幼稚園の定員割れを経営の視点から考察する
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いよいよ新年度がスタートし、園では新入園児の対応や新規採用職員の教育等お忙しい日々が続いているかと思われます。
その中で、次の園児募集に向けて、未就園児教室(プレ幼稚園)の準備を進めている園も多いのではないでしょうか。
しかし、人口減少や保育園・小規模保育所等の新規開園を受けて、入園希望者数が逓減し、定員割れが起きている幼稚園も少なくありません。
そこで、今回のコラムでは定員割れが起きた・園児数が減った場合に幼稚園が取るべき経営の方向性についてご紹介させていただきます。
2024年時点の幼稚園の現況
2024年現在、学校法人が運営する幼稚園は大きく3種類ございます。
私学助成幼稚園、施設型給付幼稚園、認定こども園の3種類です。
(認定こども園は厳密には幼稚園ではありませんが、便宜上分けさせていただいております)
私学助成幼稚園は従来通りの幼稚園で、施設型給付幼稚園は子ども子育て支援新制度が開始してから創設された、補助金が私学助成金から施設型給付金に変わった満3歳~5歳をお預かりする幼稚園です。
認定こども園は施設型給付金を受ける0~5歳児までのお預かりをすることができる施設です。(お預かりする年齢は市町村と協議の上決まります)
いずれの場合においても、定員割れや園児数減により収入が減少します。
しかし、私学助成幼稚園と施設型給付幼稚園・認定こども園では定員割れが起きたときの対処法が異なります。
私学助成幼稚園の場合、助成金の仕組みが各都道府県で異なっているため十把一絡げに議論することはできませんが、これまでお手伝いさせていただきました各園様の状況を見るに、「私学助成金の仕組みを細かくわからない。又は仕組み(園児数〇名~〇名の場合園児一人当たり単価△円/年等)自体が公表されていない。」というように、定員割れが生じたことによる補助金の減少を理論的に説明することが難しい都道府県が多いように思います。
そのため、私学助成幼稚園の場合において「定員割れや園児数減による影響を最小限に抑えるために補助金の仕組みをうまく活用する」ということが難しいです。
一方で、認定こども園に代表される新制度園の場合、国統一のルールで運用されているため、地域や定員によって細かい数値は異なりますが、明確な基準があります。
そのため、定員割れ・園児数減となった場合に「適正な利用定員」に変更することで、幼稚園経営を安定化させることができます。
参考:令和3年度公定価格
認定こども園1号認定公定価格
認定こども園2・3号認定公定価格
施設型給付幼稚園公定価格
施設型給付幼稚園の収入の違いについて
施設型給付幼稚園を例に挙げてお話させていただきます。
地域区分:20/100地域
利用定員:105名
園児数:85名
変更後利用定員:85名
利用定員変更前年間運営費:68,913,750円
利用定員変更後年間運営費:73,397,330円
変更後差額:+4,483,580円
条件:平均勤続年数11年以上、その他取得可能加算取得済み
※令和4年度時点公定価格で計算
このように利用定員を変更することで、収入を増加させることができます。
今回は施設型給付幼稚園の事例をご紹介しましたが、認定こども園においても同様の仕組みです。
したがって、補助金の仕組みが明確な新制度においては上記のような対応が可能となっております。
「実際に新制度に移ったけれども思ったより収入が増えない」
「うちの園は新制度に移った方がいいの?」
等ご相談がございましたらお気軽にご連絡ください。
制度をうまく活用して、人口減少時代の幼稚園経営を乗り越えていきましょう。
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