「施設型給付幼稚園移行」のメリットについて

2025年9月29日配信

テーマ:
時流・業界動向 処遇改善等加算 こども園移行

おはようございます。船井総合研究所の遠藤めぐみです。

今年度も園児募集が佳境を迎える時期となりました。多くの園で今年度の園児募集に集中しながらも、既に来年度以降の経営について考えを巡らせるタイミングかと存じます。

さて、弊社では昨年あたりから、これまで主流だった「認定こども園への移行」に関するご相談だけでなく「施設型給付幼稚園への移行」に関するご相談が増加しています。

本日のコラムでは、この「施設型給付幼稚園」について、移行のメリットやポイントをお話しさせていただきます。

そもそもどのくらいの幼稚園が新制度に移行しているのか?

まず、現状として全国の私立幼稚園のうちどの程度の園が新制度(施設型給付を受ける幼稚園・認定こども園)に移行しているかご存知でしょうか。

こども家庭庁のデータ(令和7年1月15日発表資料)*によれば、全国7,705園の私立幼稚園のうち5,562園(72.2%)が既に新制度へ移行しています。

都道府県によっては既に新制度移行率が100%の地域もあります。一方で、自治体によっては「認定こども園はあるが施設型給付幼稚園は前例がない」というケースもございます。「施設型給付幼稚園」という選択肢自体が十分に知られていないエリアもあると感じます。

*こども家庭庁「令和6年度私立幼稚園の子ども・子育て支援新制度への移行状況等調査の結果」(https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/2c06860e-37a4-44be-96b4-7f60e4f1d8a8/8f53c183/20250228_councils_shingikai_kodomo_kosodate_2c06860e_23.pdf)

今、施設型給付幼稚園への移行を検討すべき園とは?

では、実際にどのような園が「施設型給付幼稚園」への移行を検討されているのでしょうか。ご相談いただくケースはもちろん様々ではありますが、以下の3つのパターンが多いです。

①園舎の構造や職員体制の問題で、認定こども園への移行は難しいものの、現状よりも収入増を図りたいと考えている園

②自治体の判断で認定こども園への移行は認められなくなったが、従来の私学助成園のままでは経営が厳しくなっている園

③幼稚園としての教育方針・内容を維持しながら、「処遇改善等加算」を取得・運用して安定した園経営を目指したい園

上記に一つでも当てはまる園は、施設型給付幼稚園への移行を考えてみても良いかもしれません。

施設型給付幼稚園に関するよくある質問

施設型給付幼稚園は、認定こども園制度と混同されやすく、多くのご質問や勘違いを耳にします。ここで代表的なものを整理いたします。

Q. 幼稚園の教育・保育内容に制約はかかりますか?
A. 原則かかりません。

Q. 職員の給与に制約はかかりますか?
A. こちらも原則かかりません。 ただし、「処遇改善等加算」については、職員へ適切に配分するなど国のルールに沿った運用が必要です。

Q. 園児募集の方法は変わりますか?
A. 変わりません。引き続き1号認定のお子様のみが対象ですので、園が主体となって募集を行い、保護者と園で入園を約束する形となります。

Q. 教育時間が変わることはありますか?
A. 原則、変更はありません。

Q. では、一体何が変わるのですか?
A. 大きな変更点は「収入の仕組み」と「事務手続き」です。 収入はこれまでの経常費補助金から「施設型給付費」に変わります。これに伴い、給付費を毎月申請する事務手続きが発生します。
また、別の変更点として「保育料」が挙げられます。施設型給付幼稚園は制度上「保育料無償(0円)」の表記となります。そのため、実費徴収項目など、保護者へ提示する料金表の記載方法について見直しが必要となります。

他にも「処遇改善等加算」の制度を取り入れられるようになることは大きな変化と言えます。私学助成園でも都道府県ごとに定められた処遇改善等加算の運用はありますが、施設型給付制度の枠組みで運用される処遇改善等加算を活用することで、職員の給与を大幅に改善することができます。

簡単にまとめると、「幼稚園」としての良さや運営の自由度を維持したまま、施設型給付費や処遇改善等加算費によって安定した経営基盤を築けるのが「施設型給付幼稚園」の特徴です。

移行をご検討される園様へ

新制度への移行を検討する上で、押さえる必要があるのがスケジュールです。 多くの自治体では、移行に関する意向確認を「前年度の5月~6月」に行います。つまり、2027年度の移行を目指すのであれば、今から意思決定の準備を進めておく必要があります。

そして、その意思決定のために不可欠なのが、「実際に移行した場合、収入がどのくらい増えるのか?」という正確なシミュレーションです。給付費の額は、園児数、職員数、利用定員の設定、各種加算の取得状況など、様々な要因で変動します。

こちらについてご興味がございましたら、ぜひ一度弊社にご相談ください。貴園の状況に合わせた施設型給付費のシミュレーションを実施させていただきます。

本日のコラムは以上となります。お読みいただき、ありがとうございました。

株式会社 船井総合研究所 子育て支援部
教育グループ 遠藤めぐみ

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