【児童発達支援の利用者募集戦略】保育・教育事業の強みを活かすには
平素よりお世話になっております。
株式会社船井総合研究所の俣野でございます。
保育園・幼稚園・認定こども園を運営されている皆様の中には、既に児童発達支援に参入されている方も多くいらっしゃるかと思います。
少子化が進む現代において、子どもの成長を支えるという共通のミッションを持つ障がい福祉事業は、皆様の事業をより盤石なものにする可能性を秘めています。
しかし、この児童系サービスを取り巻く環境は、かつてないほど変化し、競争が激化していることをご存知でしょうか?
児童発達支援業界の「今」
現在、皆さんが運営されている児童発達支援事業は、まさに「成長期」の真っ只中にあります。
障害福祉サービス全体の関係予算は直近で倍増し、特に障害児に関わる予算は10年間で約4倍に伸びています。
これに伴い、児童発達支援の利用者数は15万人を超え、事業所数も1万2千を超えました。
街を歩けば、多くの児童発達支援事業所を見かけるようになったのではないでしょうか。
しかし、この急速な増加は、同時に激しい競争の始まりを意味します。
保護者の皆様は、もはや近隣の事業所を選ぶだけでなく、複数の事業所を比較検討し、「より質の高いサービス」や「明確な専門性」を求めるようになっています。
多店舗展開する大手法人や、私たち幼稚園・保育園を運営する資金力のある法人、そして特定の専門性を強く打ち出す事業所が競合として台頭し、今後は事業所の淘汰やM&Aも加速していくと予測されます。
この「成長期」から「成熟期」への移行期において、これまでと同じ集客方法では通用しません。皆さんが培ってきた保育・教育ノウハウを最大限に活かし、選ばれ続ける事業所となるためには、戦略的かつ計画的な集客活動が不可欠です。
「なんとなく」ではもう通用しない! 児童発達支援の利用者募集における3つの課題
では、具体的にどのような課題に直面しているのでしょうか。主な課題は以下の3点に集約されます。
1.激化する競争と差別化の必要性
事業所数の増加に伴い、保護者は「違い」を明確に求めています。単に「療育を提供しています」だけでは選ばれません。
貴事業所の強みや、提供する療育内容、支援時間、支援体系(集団か個別かなど)を明確に打ち出し、他事業所との差別化を図る必要があります。
運動療育、音楽療育、ソーシャルスキルトレーニング(SST)、就学準備、レスパイト(長時間預かり)など、貴事業所が特に力を入れている専門性を明確にアピールできていますか?
2.ターゲット層に応じたアプローチの欠如
児童発達支援を必要とするご家庭は、大きく分けて3つの層に分類できます。
①「探し求めている層」: 既に他事業所を利用しており、より質の良い場所を探している積極的な層。
②「知ってはいるが利用を決めきれていない層」: 福祉サービスの利用を勧められているものの、障がいの受容に葛藤があったり、内容や利用方法が分からず踏み出せない層。
③「知らない層」: 子どもの発達に悩みはあるが、相談場所や福祉サービスの存在自体を知らない層。 これらの層に対して、一律の集客方法では効果が薄いのが実情です。特に「知らない層」への認知度向上と、「利用を決めきれていない層」への「きっかけ作り」が、今後の利用者増加の鍵を握ります。
3.時期ごとのニーズへの対応不足
児童発達支援のお問い合わせには、明確な時期的な波があります。
4月~6月: 新年度の園活動や検診で発達課題に気づき、すぐに利用を検討するご家庭が増えます。
7月~8月(夏休み期間): 家庭で子どもと過ごす時間が多くなるため、問い合わせは一時的に減少します。
8月後半~12月: 次年度の利用を見据えて探し始めるご家庭が増え、徐々に問い合わせが増加します。
1月~3月: 次年度の利用に加え、すぐの利用相談も増える、まさに集客のゴールデンタイムです。 この波を理解せず、漫然と利用者募集活動を行っていては、機会損失に繋がりかねません。各時期のニーズに合わせた戦略的な広報活動が不可欠です。
では、これらの課題を乗り越え、これからも選ばれる事業所となるためにはどうすれば良いのでしょうか。
貴法人が持つ既存の幼稚園・保育園・認定こども園事業とのシナジーを最大限に活かすための戦略を5つの柱でご紹介します。
保育・教育事業の強みを活かす! 児童発達支援の利用者獲得戦略
1. マインドセットの確立と保護者への理解深化
私たちは福祉サービスを提供していますが、「営業のようなことはしない」という考え方では、支援を必要とするご家庭にサービスを届けられません。
積極的に募集活動を行い、「支援を必要とするご家庭に、最高のサービスを届ける」という強い意識を持つことが重要です。
また、保護者の皆様は多忙であり、お子様の特性受容に葛藤を抱えている方も少なくありません。
その状況に寄り添い、利用しやすい環境を整えるという視点を常に持ちましょう。
2. 受給者証取得プロセスの徹底的な理解と説明
受給者証の取得プロセスは、保護者にとって複雑で分かりにくいものです。
事業所がこのプロセス全体像(計画作成、申請、病院受診、相談支援事業所との連携など)を深く理解し、職員全員が保護者の方に噛み砕いて分かりやすく説明できることが、利用への心理的ハードルを下げる上で非常に重要です。
地域のルールを把握し、それに沿った丁寧な案内を心がけましょう。
3. 積極的かつ計画的な広報・マーケティング活動
前述のターゲット層を意識した多層的なアプローチが必要です。
・ウェブサイトの強化: サービス内容はもちろんのこと、「この場所は何をする場所なのか?」「児童発達支援とはそもそも何?」といった保護者の疑問や不安を解消できるような、保護者に寄り添ったコンテンツを充実させましょう。
・相談しやすい環境の整備: 電話だけでなく、LINEやメールなど、保護者が気軽に相談できる窓口を複数設けることで、見学に至るまでのハードルを下げます。
説明会の実施: 施設の目的やサービス内容を直接伝え、保護者の不安を払拭する機会を定期的に設けることは、信頼関係構築に繋がります。
時期に合わせたプロモーション: 1月~3月や4月~6月の問い合わせが増える時期には、チラシ配布やSNS広告、ウェブ広告などを強化し、集中的なアプローチを行いましょう。夏休み期間など問い合わせが少なくなる時期は、サービスの質向上や職員育成に時間を充てるなど、計画的な活動が求められます。
4. 関係機関との連携強化
地域の関係機関との連携は、利用者紹介の重要なパイプとなります。
・相談支援事業所との連携: 利用者の紹介元となる相談支援事業所には、貴社の支援内容を深く理解してもらうことが不可欠です。
定期的な情報交換や事業所見学などを通じて、信頼関係を構築しましょう。
・地域の保育園・幼稚園、認定こども園、学校、医療機関との連携: 貴法人が既に運営されている保育園・幼稚園・認定こども園との連携はもちろん、地域内の他園や学校、医療機関との連携は、利用者の紹介だけでなく、継続的な支援においても非常に重要です。
事例共有や合同勉強会などを通じて、地域の子どもたちへの支援の輪を広げましょう。
5. サービスの専門性と差別化の明確化
激化する競争の中で選ばれるためには、提供する支援の品質と専門性を追求し、それを明確に打ち出すことが重要です。
・療育内容の明確化と専門職のアピール: どのような療育内容に強みがあるのか(運動療育、音楽療育、就学準備など)を明確に提示し、地域のニーズに合致しているかを見極めましょう。
もし理学療法士(PT)や作業療法士(OT)といった専門職員が在籍しているのであれば、その活躍を積極的にアピールすることは、保護者にとって大きな魅力となります。
・貴法人ならではの強みを再認識: 幼稚園・保育園・認定こども園の運営で培ってきた集団療育のノウハウ、発達段階に応じたきめ細やかな支援、保護者との密な連携など、既存事業で培った貴法人ならではの強みを児童発達支援のサービスにどう活かしているのかを明確にし、発信していくことが差別化に繋がります。
まとめ
児童発達支援の市場は、今後ますます競争が激化していきます。しかし、これは同時に、「本当に子どもたちの成長に貢献できる事業所」だけが選ばれる時代が来たとも言えます。貴法人が持つ保育・教育の専門性と、今回ご紹介した戦略的な集客アプローチを組み合わせることで、必ずや地域で選ばれ続ける児童発達支援事業所へと成長できるはずです。
私たちは、皆さんの事業が持続的に発展し、より多くの子どもたちとそのご家庭に質の高い支援を届けられるよう、今後も全力でサポートしてまいります。
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