【第1回】10億円から30億円法人へ向けての土台を築く「経営基盤」について
皆様、いつもお世話になっております。
船井総研の山口です。
年間での収入が法人・グループで10億円という節目を越え、次なるステージを目指す学校法人・社会福祉法人の経営者の皆様へ、3回にわたり、法人・グループでの30億円を突破し、「地域一番園」から「地域における次世代の教育・保育・福祉を担うリーディングカンパニー」へと飛躍するための経営戦略を連載形式でお届けします。
初回となる今回のテーマは、全ての戦略の土台となる「経営基盤の構築」です。
「法人・グループでの収入30億円」という目標は、これまでの延長線上にはありません。明確なビジョンに基づく「経営計画」、それを推進する強力な「本部機能」、そして職員が安心して働ける「労務環境」。この3つが揃ってこそ初めて、組織は次のステージへ進むことができます。
法人・グループ収入30億円への道しるべを~揺るぎない「経営基盤」を築くための戦略~
1. 30億円グループ・法人を目指すための羅針盤を用意する【経営計画】
より感覚的な経営から、明確なビジョンと具体的な経営計画に基づいた戦略的経営への転換が求められます。
・10年ビジョンと中期経営計画:10年後の理想像から逆算し、具体的な3~5年の数値目標とアクションプランに落とし込むことが重要です。
・未来への戦略的投資:M&Aや新規事業を見据え、内部留保や社会福祉充実残額の活用方針を明確化します。
・連携によるスケールメリット:よりグループ内での法人間の連携強化も視野に入れた成長戦略を検討します。
2. “理事長の右腕”を作り、そして”最強の経営チーム”の構築へ【グループ本部機能】
理事長のトップダウンだけでは30億円規模のグループを運営するのは極めて困難です。そのためグループを統括する強力な人材や本部機能が不可欠です。
・専門部署の立ち上げ:経営企画、人事、財務、広報といった専門部署を立ち上げや人材の採用で、意思決定のスピードと質を向上させます。
・未来の組織図と採用計画:3~5年後を見据えた組織図を描き、そこから逆算して必要な人材の採用計画を策定します。
・BtoB機能の強化:自治体へのプロポーザルやM&A等を担う渉外担当を専任で配置し、新たな収益の柱を構築していきます。
3. “守り”は最大の”攻め”【労務・働き方改革】
職員が長く安心して働ける環境は、離職率の低下、生産性の向上、そして採用競争力の強化に直結します。
・データに基づいた組織の診断と改善の実行:各種調査・診断ツール等を活用して組織や職員のコンディションを定点観測し、データに基づいて改善策などを検討、実行していくことが重要になります。
・魅力ある労働環境:年間休日数の見直しや柔軟な勤務体系の導入など、ワークライフバランスを重視した働き方を推進していくことが職員の定着率のみならず、採用力の強化においても必要不可欠です。
・コンプライアンスの徹底:組織規模の拡大に合わせ、就業規則の更新やハラスメント対策などを徹底する必要があります。
法人・グループ収入30億円への道しるべを~揺るぎない「経営基盤」を築く戦略~
今回は、30億円の法人・グループを目指すための土台となる「経営基盤」についての考え方をお伝えいたしました。 明確な計画を立て、それを推進する組織を創り、職員の方が安心して働ける環境を整える。これが、次のステップに進むための第一歩となります。
次回のテーマは成長のエンジンである『人』について触れてまいりたいと思います。 強固な経営基盤の上に、どのような人材を、どう採用し、どう育てていくのか。30億円の法人・グループを創るための「採用・育成戦略」について詳しくお伝えいたします。
今回もお読み下さりありがとうございました。