2022年2月開始 保育士・幼稚園教諭の給与引き上げについて

2022年1月25日配信

テーマ:
処遇改善等加算

2022年2月開始 保育士・幼稚園教諭の給与引き上げについて

皆様、いつもお読みいただきましてありがとうございます。
株式会社船井総合研究所 保育教育福祉支援部の遠藤めぐみでございます。

 

2022年も1か月が過ぎようとしております。
年度末の行事や来年度に向けた準備など大変お忙しい中かと思いますが、保育士・幼稚園教諭等の収入を3%(月額9,000円程度)引き上げる「保育士・幼稚園教諭等処遇改善臨時特例事業」について、各自治体からご連絡は受けられていますでしょうか。

 

「保育士・幼稚園教諭等処遇改善臨時特例事業」について

 

現在こちらの事業について、以下のようなお声があがっております。

 

「月額9,000円程度の引き上げは本当に実現するのか」
「非常勤職員へも配分は可能なのか」
「私学助成を受ける幼稚園にも制度が適用されるのか」

 

このようなお声を受け、今回は事業の要旨をまとめていきたいと思います。
ぜひこちらをお読みいただき、今回の事業のポイントを押さえていただければと思います。

 

「保育士・幼稚園教諭等処遇改善臨時特例事業」の押さえておきたいポイント

 

1.対象施設について
①特定教育・保育施設:保育所、幼稚園、認定こども園
②特定地域型保育事業所:家庭的保育事業、小規模保育事業、居宅訪問型保育事業、事業所内保育事業
③特例保育を行う施設

 

≪ポイント≫
私学助成を受ける幼稚園には、本事業での補助はなく文部科学省の事業によって補助がなされる予定です。
こちらは処遇改善に必要な金額を一部補助する方向で検討されています。

 

2.補助内容について
①2022年2月~3月:賃金改善のための費用を補助
②2022年4月~9月:上記に加えて、減額改定予定公定価格の減額分を上乗せして補助
③2022年10月~:本事業の補助を公定価格へ組み込むかたちへ変更

 

≪ポイント≫
処遇改善の対象は、保育士・幼稚園教諭・保育教諭のみではなく、調理員や栄養士、事務員を含み、非常勤職員へも配分可能です。
そのため、施設の職員数によっては1名あたりの賃金改善額が月額9,000円を下回ることもあり得ます。
また、全職員へ一律の額を配分しなければならないわけではないので、事業者の判断で配分金額を設定することが可能です。

 

3.補助要件について
①補助額の全額を賃金改善に充てる必要がある
②改善額の3分の2以上は基本給ないし毎月支払われる手当にて支給する必要がある

 

≪ポイント≫
改善額の3分の2以上を毎月の支払いに充てる必要がありますが、法人内での賃金規定変更や配分額の検討に時間を要することを踏まえ、2022年2月及び3月分については、一時金による支給が可能となっています。
2022年4月以降は基本給ないし毎月支払われる手当にて支給する必要があります。
また、本事業にて支給された金額に残額が生じた場合は、返還することとなっています。

 

ここまで今回の補助事業に関する押さえるべきポイントをお読みいただき、ありがとうございました。
ただ、現時点ではまだ不明確なことも多くございますので、引き続き自治体からの連絡等をご確認いただければと思います。

 

また、今回の補助を受けるにあたっては給与規定の変更が必要になります。具体的にどのように変更するかについては現時点で不透明ではありますが、遅くとも3月末の時点では改正しておく必要がございますので、その際に理事会承認を得られるように議題への反映や理事会の日程調整を行っておくことが好ましいです。

 

補助事業はいつまで続くのか?

 

最後になりますが、「この補助事業は一体いつまで続くのか?」という疑問についても確認できればと思います。

 

岸田内閣が発足して早4か月となりました。自民党政権は継続しておりますが、小泉政権から始まった「新自由主義」の考え方と、現首相・岸田総理の考えは少々異なるようです。
新自由主義では「成長」に重きが置かれ、一部の企業が成長し大きな利益を生めば、その従業員や関係する会社にも利益が波及していくと考えられていました。
しかし、実際には「富める者」と「富まざる者」の格差が増大してしまったため、中間層や低所得者層の消費が伸び悩み、モノが売れない悪循環を生み出していると岸田総理は振り返っています。

 

この状況を踏まえ、岸田政権では新自由主義から脱却して新しい日本型資本主義の構築を目指すと発表しています。具体的には、「成長」と「分配」を両輪で動かし、中間層への分配を強化することで、中間層の消費を復活させ、好循環を生み出すというものです。
そのような考えのもと、企業へは労働者に対する分配を促すとしています。そして、医療・保育・介護等の福祉分野へは公的価格を見直すことで、従事する職員の所得を増やせるように働きかけていきたいとのことです。

 

あくまで現時点では推測の域を出ませんが、このような状況を踏まえますと、今後も社会福祉を支える分野で働く人々を支援するような施策が行われていくことが考えられます。

 

今回、2月から始まる特例事業ということで、年度末の大変お忙しい時期にはなりますが、申請書類などのご準備等を進めていただければと思います。
職員の処遇を良くしていくための配分金額の検討など、何かお力になれそうなことがございましたらいつでもご相談下さい。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

株式会社 船井総合研究所
保育教育福祉支援部 教育グループ
遠藤めぐみ

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